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アインシュタインの翻訳について

十日ほど前にブログ設置のメールフォームから質問を頂いたのですが、諸般の事情により昨夜ようやく気が付きました。

とはいえ、その辺りの説明は後回しにして。まずは質問への回答をさせて頂きます。
なお、該当の記事はこちら


まず一点目は、13段落2文目の "had not the common sense of nations~" の節についてです。その前の部分の "it would have been wiped out" から仮定法過去完了のif節の倒置が起こっているのではないかと思っているのですが、この認識は誤りでしょうか?加えて、もしこの認識が合っているとして、この様にhadだけでなくnotまでも倒置されて前に出てくるのは一般的なのでしょうか?



まず前半のご質問は、私もそう読みました。つまり、
"it would have been wiped out long ago (,if) the common sense of nations [had not] been systematically corrupted"
という文章からifを省略してhad notを前に出した形ですね。

そして後半のご質問ですが、一般的ではありません。例えば手元にある「ロイヤル英文法」でも以下のように書かれています。

文語調で条件節の if が省略されて,〈were [had, should など]+主語〉の語順になることがある。
(略)
否定は Had World War II not ended … であって,Hadn't World War II ended … は不可。
(§263 ifの省略)



ではなぜnotも前に出ているかというと、ここからは完全に私の勝手な解釈ですが、二つの理由を考えました。

一つは主語が長すぎるから。
notが否定するべきhadまでの距離が遠くなるので、一緒に前に出したという解釈です。

もう一つは、notの意味を強調したかったのではないかと考えました。
この前後の文章からはアインシュタインの憤りが伝わって来ますが、「これさえなければ」という気持ちが先走ってnotまで前に出てきたのではないかと。

おそらく一つ目の解釈が妥当で、二つ目は少し飛躍が過ぎると受け取られるかもしれません。でもこう考えると、アインシュタインがこの文章を書いている時の様子が思い浮かんで、何だか楽しい気持ちになりませんか?


2点目は14段落4文目についてです。この "coupled though it be with fear" のbeはなぜ原形なのでしょうか?私はshouldの省略かと思っているのですが如何お考えでしょうか?



こちらの質問は完璧にお答えできるので気が楽ですね。
以下はthoughを大辞典で調べて引用したものです。

【4】しばしば even thoughたとえ…でも,よし…にもせよ(even if)
though 節の動詞は古風な文体では仮定法を用いることがある:
I will have my revenge on him,(even) though he be a monarch. たとえ帝王であろうとも復讐する
(小学館 ランダムハウス英和大辞典)



2((正式))[しばしば even の後で] たとえ…(する)にしても(even if)《◆×even although は不可》∥
Even ~ he is [((文)) should be, be] the Premier, he shall hear us. たとえ彼が首相でも, 私たちの言い分を彼に聞いてもらう
(大修館 ジーニアス英和大辞典)



2 たとえ…でも, よし…にもせよ (even if).
★次のように従節内に仮定法の動詞を用いるのは古風な語法:
Even ~ I were starving, I would not ask a favor of him. たとえ飢えてもやつの世話にはならない /
Though he slay [slays, should slay] me, yet will I follow him. たとえ殺されてもついて行く.
(研究社 新英和大辞典)



ざっと確認したところ、中辞典クラスでもオーレックスやプログレッシブには簡単な言及がありました。
つまり結論を一言でまとめると「仮定法現在だから」になるのですが、shouldの省略という理解で大丈夫です。


さて、以下は理由説明……の前に。

まず、質問の文章を許可なく掲載する形になって申し訳ありませんでした。
もしもご迷惑でしたら引用部分を取り下げますので、そう仰って下さい。

そしてメールに気付くのが遅れてごめんなさい。

理由の一つは、メールフォームでお便りが来たのが初めてだったという事。
もう一つは、このブログを始めた頃(2007年!)に使っていたアドレスを最近ではほとんど使っていない事(月一ぐらいの頻度で確認する程度)。

なので、もしまた何かありましたら、お手数ですがメールに加えて「メール送りました」の一言で構いませんのでコメントを残して頂けると助かります。

最後に、私の翻訳への感想および質問を頂きありがとうございました。
自己満足で訳したものを「ついでだし公開しておこう」という程度の気持ちで更新したのですが、誰かのお役に立てて良かったです。

念のためにお名前は伏せたので呼びかけることができないのが少し残念ですが、○○○さんの参考になっていることを願っています。


以上、今日はこれにて。
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