ユベントス対バルセロナ

本日未明に行われた欧州チャンピオンズ・リーグ決勝:ユベントス対バルセロナの一戦について、簡単に感想を書き残しておきます。

なお、今調べてみたところ、昨年の決勝は何も書けないまま結果的にスルーしてしまったみたいで残念でした。去年の決勝戦はマドリード・ダービーだったわけですが、今シーズンも昨シーズンもこの両者は何度も対戦をしていて、そして去年の対戦は色々と見応えがあるものでした。つまり前の試合の内容を受けて両者が対策を練ってそれが更に次の試合に影響して……という繰り返しで、そうした両者の積み重ねが本当に興味深いものだったのですが。。そうした密度の濃いやり取りを端的にまとめきれず、情報量に翻弄されて遂に文章に書き残すのを諦める事になったのでした。今年のダービーは展開に目新しさや発展性がなくひたすら我慢比べの展開が続いただけに、去年の両チームのやり取りをまとめていれば、、、と少し後悔しております。昨シーズンの両チームの対戦を見られる環境にある方は、ぜひ時系列に堪能して下さいませ。と、長すぎる前置きはここまでにして、本題。


■試合の印象

何というか、ふわふわした印象の試合だったと思います。過去の試合を例に挙げると、07年のミランとリバプールの一戦に近いような感じで。ヨーロッパの頂点を掛けた戦いというこの一戦の重みの割には両チームともどこか隙を残した雰囲気で、それが改善されないまま90分が過ぎて終わってしまった……という感じの試合でした。


■バルセロナについて

今期2度目の対決となった3月のクラシコでも思ったのですが、今のバルセロナの中盤は他チームと比較してもそれほど図抜けた構成にはなっていません。むしろマドリーの中盤の方が豪華なくらいで、試合の内容としてもマドリーがボールを保持して相手を崩す意図が強かったのに対しバルセロナはカウンターの意識を強めるなど、一昔前の両者のサッカーが逆転したかのような光景がそこにはありました。更には組織よりも選手達個々の実力を重視したり、そしてその結果として自分たちが実力で上回っているという自意識から来る緩い態度も、かつてマドリーから何度も感じたものと同質だったと思います。

この試合でも、バルセロナは後方からのビルドアップに苦労します。更に攻守の切り替え時にも、数的有利な状況でボールを持つ相手選手を囲みながらもボールを奪えないなど、ペップ監督時代なら考えられないような場面がちらほらありました。失点数は少なくとも守備に問題を抱えているという点はペップ時代と同様ですが、それも詳しく見てみると明らかな違いがあります。ペップのサッカーは特に守備において相当に緻密で、数多くの約束事があり、避けるべきプレイを徹底していました。彼のチームの守備が時に脆さを感じるのは、点を取る為に攻めに掛かったが故のもの、つまり主体的にリスクを負う決断をしたが故の当然の帰結である事が多かったと思います。一方で今のチームは守備においても個人が目立ち、不用意に勝負に出て裏目に出る場面などが多く見られました。そして、かつてはプジョルやバルデス、今はマスチェラーノやピケやキーパー(リーグ戦はブラボ、カップ戦はシュテーゲン)が個人として踏ん張って失点の危機を回避している点は共通と言えるでしょう。

とはいえ、多くの人が勝因として語っているであろう前線の3人の存在が、このチームをライバルとは別格の位置に押し上げています。今のバルセロナを相手に、例えば前線から激しくプレスを掛けても、或いは中盤で激しいボールの奪い合いを挑んでも、それなりに勝算が立ちます。実際にこの試合のユベントスもそうした行動に出て概ね良好な結果を出せていたと思います。しかし。

チームとしての勝負所を相手のDF陣に、あるいは相手の中盤に置いた時、どうしても味方の守備陣は手薄になります。守備の選手達の実力がどれほど優れていても、チームが前のめりになって最終ラインにフォローに来る人の数が比較的に少なくなってしまうと、危ない場面を作られる可能性が高まります。ましてや、メッシ、スアレス、ネイマールという南米3トップが相手であれば、自分たちにミスがなくても規格外のゴールを決められて不思議ではありません。では引き籠もるべきなのか?しかしそれも、点を取ってリードした状況ならともかく、相手ゴールから自主的に遠ざかるだけでは勝ちに繋がりません。

結論として、今のバルセロナに挑むには、攻守においてかなり緻密に戦術を組み込まないと難しいと思います。一つの戦術に特化して挑む程度では彼らの攻撃力の前に敗れ去るのが必定です。現実に存在する彼らの隙を上手く突きつつ、自分たちの守備のほころびを少しでも減らすような方針で挑むべきで、彼らに対してフリーで打ち合いを挑むのは最も愚かな選択だと言えるでしょう。では、ユベントスの戦略は?


■ユベントスについて

キエッリーニの欠場は間違いなく大きな痛手だったと思います。それによって打つ手が少なくなったのは確かでしょう。彼のように、分の悪い勝負に挑んでも我慢を続ける事ができる選手がピッチに居れば、もう少し違った展開になっていたかもしれません。

この試合のユベントスは、相手のDF陣にまでプレスを掛ける守備を行う場面と、撤退してピッチ1/3で守る場面とを使い分ける意図がハッキリしていました。そしてボールを奪った際には、ポグバらがボールをしっかりキープして攻めに繋げるシーンが多々ありました。しかし、守備の際にあやふやなまま改善されなかった点もありました。

システム的には、4-3-1-2か4-4-2で守備を構築していたユベントス。更にはモラタやテベスを中盤に組み込んでほぼ4-6-0とでも表現できる形もありましたが、それらの使い分けが明確でなかったのが残念でした。メッシに対しては中盤の近い選手が常に当たりに行く方針で彼の単独突破はある程度防いでいましたが、その結果としてネイマールの居る逆サイドが手薄になりがちで、先制点の場面など多くのピンチを招く事になりました。また、相手のセンターバックは勿論ブスケツに自由を与える事が多かったのも手落ちと言って良いでしょう。2人のFWかビダルがブスケツを見るという約束事が結果的に各々の役割を曖昧にして、成果を出せていなかったのだと思います。

攻撃面では、サイドを抉ってからのマイナスのボールを、中央で撤退する相手守備陣の虚をついて止まった選手が合わせるシーンが印象に残っています。この試合のピルロはそれほど良い出来とは言えませんでしたが、しかし彼の存在故に、彼がDF陣の裏に出すボールのイメージがある故に相手DF陣の前にスペースができやすく、そこを突けていたのは良かったと思います。テベスの決定力が発揮されていれば試合はどうなったか分かりませんが、しかしそれは彼自身に原因があったと言うよりは、彼の役割を規定しきれず、時に中盤を助け時に前線に残るなど相手の状況に合わせてテベスを動かさざるを得なかった点が大きいかなと思います。

後半に同点に追いついて、チームには逆転の雰囲気が漂っていました。そうした勢いはとても大事なもので、下手に遮ると碌な事にならないのもまた事実です。しかし、今のバルセロナの攻撃陣を相手に、どちらが先に決勝点を挙げるかという勝負を挑んだ事は、ユベントスにとってこの試合の最大の敗因になったのではないかと思います。結果論と言えばそれまでですが、展開はどうであれ「勝ちに行くよりも、まずはとにかく120分粘れるように」という強い意志を選手達が共有して試合に臨んでいれば、更に見応えのある一戦になったのではないかと思ったのでした。


■結論として

戦術や采配という点ではそれほど楽しめる試合ではありませんでしたが、選手個々のプレイを見るという観点からは面白い試合だったと思います。両チームとも、来シーズンのチャンピオンズ・リーグでも結果を残せるだけの安定性には少し疑問を覚えるので、今のチームから来シーズンどう変わっていくのか、そうした変化を楽しみにしながら筆を置きたいと思います。

では、本日はこれにて。

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テーマ : 欧州サッカー全般 - ジャンル : スポーツ

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