バルセロナ対レアル・マドリード

最近の何年かは直接対決が多すぎて、どうにも食傷気味だったこの対戦。エジル移籍のショックもあり、正直に言うと内心ではあまり盛り上がっていなかったのですが、せっかくだしと見てみたらサッカー以外のところでのギスギスした感じも無く、内容として面白い部分も多かったので、感想を書き残しておきます。


■両チームのスタメン

まずはレアル・マドリードから。バルセロナ対策として中盤を3センターするのは珍しくないですが、アンカーにセルヒオ・ラモスを起用した事には各方面から驚きの声が上がっていました。前線の3トップは状況に応じて入れ替えがあり、ベイルが左右のサイドに出たりロナウドがトップに来た場面もありましたが、基本はベイルがトップの4-3-3と考えて良いと思います。

25.ディエゴ・ロペス
15.カルバハル、2.ヴァラン、3.ぺぺ、12.マルセロ
4.セルヒオ・ラモス
6.ケディラ、19.モドリッチ
22.ディ・マリア、11.ベイル、7.ロナウド

11.ネイマール、4.セスク、10.メッシ
8.イニエスタ、6.シャビ
16.ブスケツ
21.アドリアーノ、3.ピケ、14.マスチェラーノ、22.アウベス
1.バルデス

対するホームのバルセロナ。メッシを右サイドに置いてセスクの0トップという布陣なのですが、メッシとセスクの動きの質が違うので、むしろ2トップがワイドに開いた4-1-3-2と表現した方が適切かもしれません。密かにロナウド側にマスチェラーノが配されています。


■レアル・マドリードの守備

注目のセルヒオ・ラモスですが、彼を起用する目的を幾つか考えてみます。まず思い付くのは最終ラインの前で相手選手を潰す事で、これは一番大事な役目だったと思いますが、とはいえぺぺ起用でも問題はないはずです。次に、中盤で高さと強さのある彼を起用して浮き球をマイ・ボールにする事。前線からプレスをかけて相手キーパーに長いボールを蹴らせてボールを奪う意図があったのなら、競り合いはぺぺにもできますが技術で劣る彼ではボールが足に付かない事も多いので、ラモス起用の意味が出て来ます。しかし、それほど前線からの守備が活発だったようには見えず。。

最後に、ボールを持った状態で左右のサイドにパスを散らす役割。これはもちろん怪我で離脱中のシャビ・アロンソが最も得意とするプレイですが、ボールを収めてパスを出すという二つの動きのいずれもぺぺでは不安があるだけに、これらを期待できるラモスが消去法的に起用されたのではないかと。しかし現実には、ラモスに試合を組み立てる能力が足りなかったので(能力というか、ぶっつけ本番では経験が足りていなかったと言った方が正確かも)、攻撃面で彼が目立つ事はありませんでした。

そして肝心の守備面ですが、メッシが中央に来る事を想定していたのに見事に外され、セスクは守備時には中盤に下がっているのでマッチアップの相手がおらず、相手選手が近くまで来るのを待つ必要があるという無駄な状況に陥っていました。対個人という面では期待に応える働きがいくつかあったものの、中盤の守備では特に他選手のフォローの動きが上手くこなせておらず、組織として守備を考えると相手の方が一枚上手だったかなと思います。

またチーム全体としても、ボールの奪いどころがはっきりしないまま受け身に回る前半でした。これは近年発達したバルセロナ対策を振り返る必要があるのですが、メッシの0トップに対して3センターでの守り方が企画され、昨シーズンは4-4-1での対応も披露されました。いずれの場合もブスケツと特にメッシのところでボールを奪うのが基本なのですが、この試合でのメッシは囮の役割が多く、見事に狙いを外された形になりました。


■マドリーの3トップ

いずれもカウンターに長けた三人ですが、スピードに乗った攻撃はほとんど出来ませんでした。更にネイマールの得点でバルセロナが先制した後は少し引き気味になった為にボールを持たされる展開が多くなり、そうした長所よりも連携が未熟な点が顕わになっていました。彼らに効果的なパスを出せるのがモドリッチのみで、彼も右サイドのメッシに相対するマルセロのフォローがある為に攻撃だけには専念できない状態なので、色々と難しかったかなと思います。

また、守備時には両翼が中盤に下がり4-1-4で守れたらベストなのは自明ですが、ディ・マリア以外の二人は戻りに熱心では無く、中盤で数的不利に陥りやすい傾向にありました。これには敵味方の二つの理由が絡んでいるのですが、バルセロナの両サイドバックが以前ほどは攻撃参加を自重していたので、戻る必要がないように見えた事がまず一点。

そして、レアルのこの日のシステムとして、攻撃時に両翼が中央に入って行き、サイドは両サイドバックやセンターの二人が担うよう狙っていた事が影響したと思います。これはアンチェロッティ監督らしいサイドの使い方で、これを洗練させると所謂クリスマス・ツリー型のフォーメーションになるのですが、相手ゴールに三角形の頂点を突き刺す図を思い浮かべると明瞭になるように、相手チームは中央よりもサイドでボールを落ち着けやすい形です。

実際、ボールを奪われた後でバルセロナがサイドから組み立てを始める形が多く(レアルが右サイドから攻め込んで奪われ、同サイドのイニエスタのドリブルや、逆サイドのアウベスに渡してボールを前に運ぶ形など)、1トップにブスケツをマークさせ中央の選手がセンターバックのパス・コースを消してサイドに追い込むというバルサ対策の定番が、この試合ではさほど重要にはなりませんでした。バルセロナが最終ラインから短いパスでボールを繋ぐ事に執着せず、ロングボールをネイマールに届けたり、ゴールキックが敵陣内で相手ボールになっても問題なしと割り切っていた事も、この傾向に拍車をかけていました。

3トップからすれば、自分たちの守備面での役割は果たしたので前線でカウンターに備えるぞと言いたいところですが、誰も戻らないと中盤で数的不利になりますし、かといって守備の狙いが外された状態で帰るよりは相手への脅威として前線に残っていた方が良いようにも思えますし、攻撃から見ても守備から見ても上手くいかない前半でした。


■バルセロナの前半

既に書いた以外では、ネイマールの登場によってセスクの役割が一つ減っているのが興味深かったです。つまり、昨シーズンのセスクの0トップだと彼が相手守備陣の裏への抜け出しまでを担当する必要があったのが、ネイマールが裏抜けの動きを繰り返し、かつ左サイドに張っている事でサイドバックとケディラやディ・マリアを引きつけてくれるので、中盤での組み立てにもその後の崩しにも参加しやすい環境になっています。

その代わりに、グアルディオラ監督時代と違って前線からの守備が強度を失っているので相手ボールになると守備の形を整える必要があり、特に右サイドのメッシが守備に積極的ではないので彼の穴をセスク、シャビ、イニエスタの三枚で埋める必要がありますが、前述のようにレアルの3トップは中央への意識が強くサイドに張り出す動きが少なかったので、前半はおおむね上手く守れていました。

厳しい目で見ると、彼ら三人(もしくはネイマールを加えた四人)のラインは対人という点で守備が緩かったのですが、抜かれた後に反転して守備陣と相手をサンドイッチにする場面が多く、これがどこまで意図した動きだったのかは気になるところです。おそらく偶然だと思いますが(苦笑)。

しかし、前半も終了間際になって、ロナウドがサイドを突破しケディラが入ってくる場面がありました。ハンドではないかと審判に食い下がるケディラから、何年か前のCL準決勝でのバラックを連想しましたが、このプレイが後半の改善に繋がる事になります。


■後半のマドリーと、それに対するバルサ

変更点として、3トップのうち二人にサイドで張らせるようになりました。ピッチを広く使える事、バルセロナにサイドで組み立てをさせない事、ボールを奪われた時に守備の役割が明確になる事などで、レアルは徐々にペースを取り戻していきます。

最初の交代は後半10分頃。ラモスに代えて本職のイジャラメンディを入れ、守備の連携を改善する事でバルセロナが前線にボールを運ぶのを妨害して、チームの攻撃時間を増やす事にある程度成功します。更に5分後にはベイルに代えてベンゼマを入れ、ほぼ通常に近いやりやすい形に戻したマドリード。最初からこの形で挑めよという声も聞こえてきそうですが(笑)、試合中にきちんと訂正できるのは好感が持てますね。

この時間帯に顕著だったのはバルセロナの守備の乱れでした。つまり、レアルがロングボールを左サイドに通す形が増えて中盤の三人によるメッシの穴塞ぎが間に合わなくなり、ロナウドに加えてモドリッチや、交代したラモスから引き継いだキャプテン・マルセロまでをアウベス一人で相手する苦しい形に陥っていました。

バルセロナは後半25分にセスクを下げてサンチェスを投入。メッシを中央に移して守備の強化を図ります。結果的にはこのサンチェスが決勝点を決める事になりますが、こうした守備目的の交代が点に繋がるケースは時々あり、何とも面白いものですね。

後半30分頃にレアルは最後のカード、ヘセをディ・マリアの代わりに入れました。左右の精度の違いからクロスを上げるのに左足に持ち替える事が多く中央に入って来やすい後者に代えて、よりサイドでの縦の動きを重視した交代のように見えましたが、じっくりプレイを見た事がほとんどない選手なので断定は出来ません。。しかし、ディ・マリアと入れ替わって右サイド深くに進入するケディラの姿をよく見た気がしますが、エジルが居たらなぁ…と思ってしまった人は少なくないのではないかと。。

さて、直後にバルセロナはイニエスタを下げてソングを投入。はっきりと4-2-3-1にする事で、中盤底のブスケツとソングが前後にフォローに行きやすい形に移行します。すぐ後には追加点も生まれ、余裕を持って試合を終わらせにかかるバルセロナ。残り5分の段階でネイマールを下げてペドロを入れ、サイドの守備固めと運動量での貢献を期待する教科書通りの采配。ロスタイムに入ってから、何人かの軽いプレイが重なってカウンターで失点を許すものの、特に問題なく試合を終える事が出来ました。


■まとめ

レアルはまだチームの方向性が定まっていない印象で、監督の手腕に期待という感じでしょうか。昨シーズンのCLでパリを率いてバルセロナを追い詰めたように、理に適った采配で結果を出す事に長けた監督なので(逆に理論通りにあっさり負ける事もあるので批判する人も絶えないと思いますが)、カウンターとポゼッションを上手く融合させたチームを作ってくれるよう期待しております。

バルサも建設途上という印象で、守備を強化する一連の采配も強度という点ではまだまだ不安がありますが、色々と実験をしながらもリーグで勝ちを重ねているのが凄いところ。メッシ0トップ対策への対策、引いた守備、前線からの守備の復活など、それらを一定以上の完成度で兼ね備えると、派手さは数年前に劣るものの凄いチームが生まれそうですが、こちらも楽しみにしております。


以上、今日はこれにて。

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