5月15日

5月15日というと即座に思い付くのはそのまま5.15事件ですが、今年は沖縄の本土復帰40年かつ基地問題などで話題が豊富な事もあってか、予想以上に報道が盛り上がっていた気がします。ちなみに犬養首相の暗殺からはちょうど80年。ついでにJリーグの開幕も1993年のこの日でした。

1972年の沖縄返還は世界史の年表に載っても不思議ではないほど重要な出来事ですが、とはいえ正直なところ各社の社説にしろテレビの特集にしろ、実感に乏しい報道が多い気がしました。これはサンフランシスコ平和条約の発効から60周年を迎えた今年4月28日にも思った事ですが、以下それらについて雑然と書き残しておきます。


自分にしても当時の空気を肌で知っているわけではないのですが、しかしそれだからこそ、現実感が濃厚な生の歴史を報道で伝えて欲しいと思っています。「昭和47年、沖縄返還」といった知識としての理解だけでなく、体験という形での理解をも期待するわけです。が、実際の執筆者さんの理解がどうであれ、少なくとも社説として出された文章を読む限りでは、前者に偏ったものがほとんどだなという印象を受けました。

実はこれは今回に限った話ではなく、我が国が完全に先進国の一員になった1970年辺りで断絶があり、それ以前の歴史を感覚として受け継げていないと感じる事がありました。30~40代の野心あふれる研究員でも、知識としての歴史を本当によく勉強されている反面、どうも現場感覚が希薄で頼りなく感じる方々が、その専門を問わず増えている印象です。そしてこれは時間軸に沿った話ですが、一方で同時代的には専門性という点でも断絶があり、つまりはある事件についての一般的・表面的な理解と、専門的・実際的な理解との乖離は、年を追うごとに酷くなっている気がします。しかし、こうした傾向は今後強まりこそすれ、改善される可能性は残念ながら少ないのでしょう。。


若泉敬さんについては、ここ数年でNHKを始め何度かテレビで取り上げられて知名度が増した感じを受けます。返還交渉の際に当時の佐藤首相の特使として、秘密裏にキッシンジャー大統領補佐官(当時)と交渉を重ねたとされていて、その過程を詳細に記録した「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(文藝春秋)という著書があります。本書を1994年の5月15日に上梓し、同年の6月23日:沖縄戦が終了したとされている日に自死を思うが果たせず、2年後に本書英語版の草稿を完成させた直後に、服毒自殺を遂げました。

自分が本書を知ったのはとある縁からで、短いながらも当時の経験を話して貰いつつお薦め頂きました。今日、手元にある旧版をぱらぱらと流し読みしていたのですが、例えば第11章冒頭の「最後には天皇陛下だ」という項などは、昨今の政治状況を思うと隔世の感があります。ここでの著者の疑念:一国の宰相としての決断から逃避し天皇の権威に縋る事になるのではないか?という考察は、政府が責任を回避し続ける現在からすれば何とも贅沢な話です。詳しくは直接読んで頂くとして、「陛下がおられるかぎり、大丈夫だ」という佐藤さんの発言は確かに正しく、我々はそれを昨年の3月16日に身をもって知る事になりました。。


どうも暗い話になりがちなのと、ネット世界の片隅で影響力のない人間が書く事とはいえ扱いが微妙な話題が多いだけに、なかなか書くのが難しいですね。という事で、中途半端ですが書いた分だけ公開しておきます。
以上、今日はこれにて。

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