UEFAチャンピオンズリーグ決勝の雑感

何だかんだで毎年欠かさず試合を観ては雑文を書いているUEFAチャンピオンズリーグ決勝ですが、今年はバルセロナとマンチェスター・ユナイテッドの一戦です。ちなみに端的な感想としては、「二年前の文章をそのままコピベしても通じるかも?」というのが正直なところですが。。。せっかく早寝して観たので、もう少し詳しく書き残しておきます。

なお、開始前のアンセムが何とも残念なもので、とはいえそれで少し和みました(苦笑)。2年前のローマでのアンセムは良かったなと思い出しつつ。



■バルセロナの先発メンバー

17.ペドロ、10.メッシ、7.ビジャ
8.イニエスタ、6.シャビ
16.ブスケツ
22.アビダル、3.ピケ、14.マスチェラーノ、2.アウベス
1.バルデス

プジョルが先発から外れ、肝腫瘍の手術から復帰したアビダルが左サイド、マスチェラーノがセンターバックという布陣ですが、ポイントはビジャとペドロの左右が入れ替わっていた事でしょうか。

その意図としては、まずビジャよりも守備の意識が高いペドロを左に置く事で、復活途上のアビダルをケアできる事と、守備に回る場面でもイニエスタを比較的高い位置に残すという選択肢が得られる事があります。相手の最終ラインまでメッシとイニエスタがプレスをかけるシーンが見られたり、かと思えばペドロが相手のボール回しを追ってキーパーにまで向かって行くシーンが見られたり、それらを状況に応じて使い分けられる事が守備面における利点。そして、攻撃に繋がる守備を心掛けるバルセロナとすれば、イニエスタの位置を高くする事で、ゴールに繋がるプレイがより期待できる=メッシが右サイドに流れた状態でも左サイドでポイントができるのが大きいかなと思いました。

そしてビジャを右に置く影響ですが、ユナイテッドのボールになった時にパクとポジションを入れ替えてギグスがサイドに進出して来ない限り、守備面ではそれほど神経を使わなくても良いという前提があります。そのため、攻撃の場面ではビジャは頻繁に中央に顔を出していました。その効果としては、相手センターバックの裏を狙うというビジャが得意の形に持ち込める事、それによってセンターバック二人が持ち場を離れてヘルプに行けない(より具体的には、中盤に下がったメッシをケアできなくさせる事で、自分たちが中盤で数的優位な状況を謳歌できる)事、更には右サイドの高い位置を敢えて空けておく事で、アウベスやメッシが自由にそのスペースを使える事、などでしょうか。


また、メッシ、イニエスタと並ぶこのチームの中心であるシャビは、この日は序盤から低い位置に下がって試合を組み立てる事が多く、相手のプレスを意味の無いものにしていました(ユナイテッドの諦めの早さもありましたが)。


リーグ戦が消化試合になって主力の殆どが二週間の休みを得られた事で、バルセロナの面々はここぞという場面での運動量も回復していました。序盤は決勝ゆえの緊張や久々の実戦で勘が戻らない様子もありましたが、10分頃にビジャがボール回しに参加できた辺りで全員の身体がほぐれたという事なのか、一気に自分たちのペースに持ち込む事に成功しました。




■ユナイテッドの先発メンバー

14.チチャリート
10.ルーニー
13.パク、11.ギグス、16.キャリック、25.バレンシア
3.エブラ、15.ビディッチ、5.リオ、20.ファビオ
1.ファン・デル・サール

ルーニーを活かすための4-4-1-1という、自分たちのスタイルでバルセロナに勝負を挑んだユナイテッド。とはいえ、その意気は買いますし嫌いではないのですが、やれる事をもう少し試みても良かったのではないかと思いました。つまり、相手の力量をきちんと認めて、少なくとも中盤のケアについては何らかのアイディアを示して欲しかったなと思います。

最初の10分間に前線から相手に襲いかかる積極性を見せたのは2年前の決勝と同じ。で、その時間帯が最大のチャンスで、そこで点を決められなかったのが…と多くの人に思わせたのも前回と同じ。バルセロナのボール運びを中盤の途中で阻害できなくなってからは、守備の連携という点でちぐはぐな場面が目立ちました。


守備の試みとしては、基本的には最終ラインと中盤のラインでゾーンを敷く形で、ボールを持つ選手を完全にフリーにするのは避けてある程度寄せに行きつつ、ボールを奪うよりは抜かれない守備を重視している様子でした。前線からの守備が機能しなくなった時点でゴール前を堅く守るプランに変更したのだと思いますが、中盤の選手が相手ボールホルダーにつり出される事で生じたギャップを上手く利用されて、結果として最終ラインの前に広大なスペースを生む場面が多くなりました。メッシやイニエスタ、更にはシャビにも高い位置で簡単に前を向いてプレイさせている時間帯が多くなり、徐々に難しい場面が増えて来ました。

更に、せっかくボールを奪えたとしてもバルセロナの選手たちに素早く囲まれる事が多く、そこでボールを落ち着けて攻撃に繋げられるのはギグスかルーニーぐらいという状況で、彼らにしてもその攻撃面の良さを出す以前に守備面での役割を求められる事が多く、組織としてちぐはぐな状態が続きました。そんな状況では、ペナルティ・エリアでボールを受ける事で力を発揮するチチャリート、サイドで前を向いて仕掛ける状況に持ち込みたいバレンシアの両者が攻撃面で目立てないのも当然で、ルーニーがもう一人欲しいと思う場面が多かったです。


後半に入ってパクを中央に、ギグスをサイドに出して役割の明確化を図った感じを受けましたが(*追記あり)、結局は大勢に影響する事もなく。。フレッチャーを起用できていれば多少は違っていたかもしれませんが、あれだけモウリーニョがデータを提示してくれたのに、そして幾つかのプランを実行できるだけの戦術の幅を持ちながらも、それを試みもしないで自分たちの長所を出す事に拘った采配は、個人的には少し残念でした。



■まとめ

その後の経過については特に書く事もなく、内容に比例した結果になったなという感じでした。多くの人にとっては充分に予想できる結果だったのではないかと。バルセロナのプレイを見て楽しい試合ではありましたが、決勝に相応しい重みが足りないと思ってしまうのは、ユナイテッドの試合に臨む姿勢に物足りなさを感じてしまったからでしょうね。

この試合は、人によっては「攻撃的に真っ向から勝負を挑んだユナイテッドも天晴!」と思えたかもしれません。そして、それに対して自分は異議を挟むつもりはありません。ただ、攻撃という点を考えた時に、特にギグスの攻撃性能を活かせる布陣だったか?と考えた時に、それを可能にする為の守備の構築という視点があればなお良かったのではないかな、と問いかけたい気持ちが残るなぁと思ってしまう試合でありました。

この決勝の結果によっては、昨年のクラシコ5-0をピークにメッシの0トップが終焉を迎え、新たな形を目指して多様な戦術が火花を散らす来シーズンになるのではないか?などと期待する気持ちも少しあったのですが、来シーズンも「いかにバルセロナとメッシを止めるか?」というシーズンになるのでしょう。今のバルセロナの戦術の限界を明確にしてくれるような、そんな楽しい試合が来シーズンに見られる事を願いつつ。今日はこんなところで。


*後半のユナイテッドの変更:パクを中央にギグスをサイドに出す形について、少しだけ補足。

ギグスは前半から守備の場面で首を傾げるような動きが何度かありました。とはいえ、適切な守備をして貰うために彼を起用しているわけではないだろうという事で、中央で守備の対応に追われる役割から、サイドで攻撃に繋がる役割を担わせたい意図がまずあったのでしょう。

それから、上記したビジャの動きへの牽制という意図もあったはずで、彼に守備のカバーに戻るべきか否かを真剣に考えさせるような状況を作りたいという意図もあったはずです。早い話が斬り合いを誘ったのでしょうね。

そして、最初からパクを中央に置く事で、彼の運動量を中盤の中で存分に発揮して貰おうという意図もあったと思います。サイドからヘルプに行く分の運動量を節約できるのが利点ですが、中盤にギグスがいる状態でパクがフォローに行くのと、ギグス不在の中で裏を取られたパクのフォローにパク自身が向かうのとでは、やはり守備力に違いが出て来るわけで。。

メッシの勝ち越しゴールは見事なものでしたが、遅かれ早かれ守備が崩壊していた可能性が高そうな、体力的に行動に出ざるを得ない状況だったのかもしれませんがハイリスク・ローリターンな選択だったのではないかなと思ったのでありました。

ちなみに、3-1になった辺りでルーニーが積極的に中盤に下がって、彼が中盤底の片割れに入ってパクがトップ下でギグスが左サイドという4-2-3-1になったシーンがあって興味深かったです。試合が決まってしまう前に彼ら三人による守備におけるポジションチェンジがもっと頻繁に行われていれば、つまり、この4-2-3-1に固定ではなくスタメンの4-4-1-1なども織り交ぜながらの試合運びをしていれば、もう少し見応えのある試合になったのではないかなと思ったのでした。

以上、追記終わり。


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