数学受験術指南

ついで森毅さんについて。


■数学受験術指南

森毅さんの著作から何を読もうと考えた時に、梅棹さんほどすぐには決まらなかったので、しばらくぼんやり考えていたのですが、何となくこれではないかなという気持ちが日を追うごとに強くなって来たので選んだのが本書「数学受験術指南」(中公新書)です。

いい加減に時間の余裕がなくなって来たので話を急ぐと、昔に読んだ時には、数学の問題に関する自身の対応について、「あれで良かったんだな」という感触を得たような読後感がありました。で、今年に読み返して思ったのは、「あれは良くなかったな」という事がしみじみ思い出される感じでした。ちょっとこれ以上の上手い説明が出来ないのですが、興味を惹かれた方は本書をじっくり読んでみて下さい。

おそらく、本書を読み通す事はまるで難しい事ではなく、ゆえにざっと斜め読みして気になる文章を引用して感想を付けて、トータルで半時間もあればレビューもどきができてしまうのではないかなと思います。そのようにして多読をこなす事も必要な事だとは思いますが、本書については、当たり前の事しか書かれていないけれども、その当たり前をじっくり読んで欲しいなと思うような作品だなと。


ここで少し作品から話が逸れますが、梅棹さんにしろ森毅さんにしろ、直接会った人に印象を聞くと、だいたい同じような表現が返って来ます。うちの親などに聞いてもやはり「面白い人だった」などと言うのですが、それでもお二人は印象がまるで違うわけで。乱暴に言うと、梅棹さんが数多くの石の中から磨きあげると光るものを直感的に選べる傾向があるとするならば、森毅さんは、光るかどうかは判らないけど、この石にはこんな面白い部分があると言い出す感じというか。文章表現では違いを説明し難いのですが、本質を見抜くという意味での面白さと、発想の着眼点という点での面白さとでもいうような違いがあって、とはいえお二人ともにその逆の事にも秀でておられたので難しいのですが。。面白い方々がたくさん居られた時代の豊潤さを思いつつ、今の時代も、未来の一時点から振り返った時にそんな風に思えるといいなと期待を込めてみたりして。


ともあれ、本書を読んで少し数学の復習をしたくなって、岩波新書の遠山さんの著作などを引っ張り出したり、こちらも色々に繋がるものが多々あったのですが、残念ながらいまいちじっくりとは読めていないので、それについては書き留めないままにしておきます。希望としては、「大学への数学」などを久しぶりに購入して、何人かで集まって読書会とか合宿とかしたら楽しいだろうな~とか思うのですが、なかなかメンバー集めが難しいですね。まあ、そんな時間が何処にあるんだって話ですが、落ち着いたらそんな事もしてみたいなぁって事で、一応書き残しておく次第でありました。


以上、森毅さんについてはこれにて。あとは小室直樹さんについて書きたかったのですが、へべれけタイムが徐々に迫って来たのでこんなところで今年はお終いにします。


今年は例年に増して長文エントリが多くなりましたが、長さにめげずに読んで頂いた方々、ありがとうございました。
では、来年も宜しくお願いします。


BKO拝
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コメント

森毅さん

>森毅さんは、光るかどうかは判らないけど、この石にはこんな面白い部分があると言い出す感じ

というのは、まさに言い得て妙ではないでしょうか。私は高校のとき数学は好きだけどテストでは全然点がとれなかったのですが、森毅さんの『数学で何を学ぶか』(講談社現代新書)を読んで、「数学はおもしろいよ~」というオーラに心奪われて、自分でもう一回やってみたくなり、教科書から復習を始め、数学についての本をいろいろ読むようになりました。まだまだ全然できませんが、人生の楽しみが一つ増えたと思っています。梅棹さんの本も読んでみます!!

spinovさんへ

コメントありがとうございます!

言いえて妙と言って貰えて嬉しいです。
本文中で上手く書き切れなくてぼかした部分がありますが(二段落目の昔と今の感想の違いの箇所)、昔は「光る」事に拘り過ぎで、面白い=光る=認められた、という認識だったのですね。
今にして思えば、「光るかどうか判らんべさ」という前段も後段と同様に重要で、必ずしも面白い=光るでもなければ、光るもの必ずしも金ではなく、「その辺りの判別なんかは上手くサボって、他の事に集中した方が面白いよ」といった辺りが、森毅さんの本意により近いんだろうな、などと思ったのでした。
現代新書にも書いておられたと思いますが、数学の極意とは「サボる事」らしいですし(笑)。

梅棹さんの、「普通の人からすれば複雑な問題のはずなのに、言われて見れば何とまあ…」という気持ちにさせてくれる発想力は絶品なので、たっぷりと楽しんで下さいね。
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