サッカー本あれこれ

さすがにワールドカップが近付いて来ると、本屋でもサッカー関連の本が特集されていますね。という事で今回は、いくつか最近読んだサッカー関連の本について、簡単な感想を書き記しておきます。我ながらサッカー記事が三つ続くのは珍しいなと、ひとりごちてみたりして。



■「名波浩対談集 日本サッカーが勝つためにすべきこと。」(集英社)

名波さんは優しいな~というのが第一印象。興味深く読んだのは、松田・松井の両選手でしょうか。ちょっと引用してみます。

松田:若手への切り替えとかいって、そんなにいいプレイをしていなくても、若い選手が順番待ちのように試合に出られちゃう環境はどうなのかな、と。(略)俺らの時代って、上にすごい選手がいっぱいいたでしょ。(略)井原さんや小村さんがいて、(略)今の若い選手にもそういうのを乗り越えてほしいなって。それが、W杯予選の本当に苦しいときに何ができるのか、とか、本大会で何ができるのかっていうところにもつながっていくと思うんです。(p.174)



松井:日本の若い選手にいちばんに思ってほしいことなんですけど、名波さんとかカズさんとか、Jリーグを盛り上げてきてくれた人たちに敬意を払ってほしい。今ある姿だけを見るんじゃなくて、ここまでやってきたことのすごさ、功績を見逃さないでもらいたい。言いたいこと言って、やりたいことやって、日本もいろんな面で自由な風潮になりつつありますけど、日本の上下関係とかすごく良いと思うし、そういう日本の良さを忘れてほしくない。(略)日本を離れてみて、やっとわかる日本の良さ、みたいな。(P.39)



今更の話ですが、ドイツの時にこうしたメンタリティーの彼らが代表にいたらな、と思ってしまったのでありました。。。



■村松尚登「スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか 日本がワールドカップで勝つためのヒント」(ソフトバンク新書)

大体は知っている話だったのですらすら読めましたが、一応2点だけ書き残しておきましょう。

1点目は、p.119~『「子どもにチーム戦術」は大人げない!?』という部分について。連想したのはクラシック音楽の話で、「子ども向けに編曲しなおした曲を聴かせる事は、役に立たないどころか害にすらなりうる」という話。もちろん、成長段階にあるという事を考慮した教育が必要なのは確かですが、だからこそ何を重視して何に気を使うかという選択が重要になって来るのではないかと。

2点目は、『「内容よりも結果を重視する」というスペイン人の意外なメンタリティー』(p.45)について。これは自分には納得できる意見でした。

例えば、レアル・マドリードの新監督に就任したモウリーニョに対して「レアルのサポーターは内容を重視するから合わない」という声があります。ただ、優勝させたものの1年で監督を解任されたカペッロは、CL敗戦の時点で国内でも勝ち切れない試合が続いて、つまり結果を出せていなかった事が根底にあったわけで。その後はベッカムの起用などがきっかけになってリーグで奇跡的な快進撃を続け優勝を勝ち取りましたが、「結果を出していない事」が大きな減点に繋がってしまうのがこのクラブの特徴なのではないかと思うのです。ペジェグリーニにしても、確かに結果的にはリーグで勝ち点96という凄まじい結果を残しましたが、一方でバルセロナに連敗し、国王杯では三部のチームに4点取られて敗退し、CLでも結果を残せなかったという事情がありました。だから、仮にモウリーニョが時になりふり構わない策を講じようとも、大事な場面で結果さえ出していれば大丈夫なのではないかと。ハードルは高いですが道はあると思ったからこその挑戦なのだと自分は解釈しております。



■小澤一郎「スペインサッカーの神髄」(白夜書房サッカー小僧新書)

スペイン絡みの新書が続きますが、これは少し趣が異なって、主に育成の現場に注目したものです。バルセロナ、レアル・マドリード、ビルバオ、オサスナ、エスパニョール、セビリアのそれぞれの育成担当者にインタビューをして、その方針などを紹介しています。

印象に残ったのは、それぞれのクラブの下部組織でプレイしている少年たちのうち、大半は1部リーグでプレイする事なく終わってしまうという残酷な事実をしっかりと意識した上で、それでもこの下部組織での経験が少年たちにとって有益なものとなるような、そんな視点で指導しているという話でした。つまりは人間教育という面をしっかりと意識して子供たちに接しているという事で。

それから、最後に木村浩嗣さんとの対談があるのですが、その中でも特に以下の木村さんの発言には考えさせられるものがありました。

・(日本の子どもが18歳以降)伸びないのは、突然伸びないわけじゃなくて、12歳ぐらいの指導が間違っているからですよ。
・(日本の子供は素直で言うことを聞くからこそ)監督の指導によっては、簡単に悪い方向にいっちゃうわけで・・・。(p.177)





■風間八宏「日本サッカーを救う「超戦術」」(ベースボールマガジン社新書)

「超戦術」と書いているだけあって、本書では具体的な戦術論が展開されているわけではなく、むしろより根本的な姿勢とか発想の転換とか、そうした見地からの著者の意見が展開されています。で、思うのは、風間さんは昨今の「サッカーを難しく考え過ぎる風潮」に対して、その流れを変えたいのだろうなと。

その意味で本書はある種の人生訓のような側面があり、サッカー関係者以外の方が読んでも面白いのではないかと思いました。興味を惹かれた方は、ページ数も多くなく字も大きいので、軽く立ち読みをしてみると良いかもしれません。

時々「ゴールから逆算したプレイをしろ」という意見を聞きますが、著者の発想はまさしくそんな感じで。たとえ指導者であっても見えていない部分がある事を前提に、結果を出すための方法は限定されているわけではなく、仮に指導者とは違った方法であっても選手が自分で考えた方法で結果を出せたのであれば、それは正しい事なのだと。逆に、指導者の言う通りのプレイを選択する事で、上手く行かなかった時にそれが言い訳になってしまう事も意識すべきだと。こうした著者の姿勢は、個人的にもとても惹かれるものがありました。



以上、だらだらと書き並べてみましたが、そんな感じでひとまずこれにて。ブログペットが助けてくれるとはいえ、月に最低10というノルマは大変だなと、自分がサボっている事を棚に上げてぼやいたところで次に行きましょうか。


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テーマ : サッカー - ジャンル : スポーツ

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