最近読んだ漫画の話その4

もうちょっと続けてみようという事で漫画の話。先頃3巻が出た吉田秋生「海街diary」(小学館フラワーコミックス)について。古都・鎌倉の一軒家に住む三姉妹に異母妹が加わって始まる四姉妹の物語。

本作は、かつての「ラヴァーズ・キス」(小学館文庫)と重なる部分があって、基本的にはパラレルな関係だと思うのですが、視点が違うと同時に作品世界の空気にも違いがあります。80年代後半~90年代半ばのあの雰囲気は今では肌から遠くなってしまい、本作は間違いなく今世紀の物語になっています。

そうした時代の空気に加えて、この作品は各話のタイトルや登場人物たちのバックで描かれている風景などが、現実の鎌倉の町へと読者を誘いかけている雰囲気があります。週末にふらっと旅立ちたい気持ちになりますね。


さて、また少し話が大きくなりますが、漫画という文化は既に爛熟期を迎え、新たなニッチを見付けては更なる充実が試みられています。漫画で描かれるテーマのほとんどは既に名作が厳然と存在して、同じテーマの作品はその名作の存在を前提に話が進められています。

今までバックグラウンドという事を書いて来て、つまり漫画にも前提知識を多く必要とする時代により近付くのではないか?そして内容が(テーマではなく複合的な意味で)高度で子供には手を出しにくい作品と、子供向けの作品に二極化するのではないか?という漠然とした疑問がありました。

しかしながら、本作を「ラヴァーズ・キス」を念頭に置きながら読んでいて思い出したのは、そうした難しい事を知らなくても充分に楽しかったなぁという記憶であり、未知の事を認識した時に時系列を遡行して名作を体験するワクワク感でありました。後者は例えば「BANANA FISH」からサリンジャーに興味を持つといった流れですが、そうした扉はいつでも開かれていて、読者は好きな時に好きな作品のバックグラウンドを好きなだけ楽しめば良いわけで。そしてその辺りが、遅くとも70年代頃には円熟期を迎えていた感のある漫画文化が、今でも定期的に名作を輩出できている要因の一つなのだろうなと、そうした事を考えていたのでした。


少し本作の内容に関係のある話に戻すと、先日、J1大宮アルディージャの塚本選手(24)が骨肉種と診断されたというニュースがありました。本作でもサッカーの才能に恵まれた少年に骨の病気が見付かるのですが、タイムリーな話だけに、それについて少し考える事がありました。井上雄彦「リアル」(集英社ヤングジャンプコミックス)の戸川なども同じ病気だったと思いますが、wikiによると最近は四肢を切断せずに腫瘍を取り除く事も可能になって来ているそうで。自分に何ができるわけでもなく、意識としての問題でしかないといえばその通りですが、作品を通してそうした事がより近しいものとして意識されるその事を、これからも大事にしたいなぁとか思いつつ。


なかなか上手くまとまりませんが、そんな感じで今日はこれにて。


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テーマ : 漫画の感想 - ジャンル : アニメ・コミック

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