最近読んだ本

先月は当たりが多かった事もあって、最近は本を読むのが楽しくて睡眠時間が気になる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

ちなみに、「1Q84」は発売日に買いましたが、まだ読んでいません。ハードカバーの本を(偶然ではなく意図的に)発売日に買うのは多分初めてだったと思うのですが、異常なほどの売れ行きみたいで。すぐに読むのは勿体ないので少し寝かせているわけですが、ざっと550+500ページという分量は確認しました。この字の大きさだったらもう一冊ぐらい・・・なんて贅沢な事を思ったのはここだけの話ですが(笑)、週末にでもゆっくり一気に読みたいものです。

で、本題。最近読んだ本のうち、今日は新刊をいくつか、書けるだけ書き留めておきます。



・鹿島田真希「ゼロの王国」(講談社)

本屋さんで偶然見つけた本書。最初は「分厚いな~」と思って手に取ったのですが、少し読んでみて面白そうだったので即買いしたものです。

この作品では会話文が全体の8割以上を占めているのですが、その内容は19世紀の有閑層、特にロシアのそれを連想させるもので。大仰で長く、時には会話というよりも演説や独白に近いような発言が次々に飛び出します。そしてそれが現代日本を舞台にして、例えば東京の交差点脇のコンビニの前などで展開されるわけで。このイメージの落差にやられてしまい、お買い上げに繋がったのでありました。リアリティが無さ過ぎで面白いので、興味を惹かれた方は一度立ち読みしてみて下さいな。


で、具体的にはドストエフスキーなのですが、ストーリー的には最初「白夜」辺りかも?とも思いつつ。2章で登場したユキがナスターシャだろうという事で、実際にその後も「白痴」を下敷きにしたような展開をみせます。ただ、他の登場人物を見てみると、ムイシキンもロゴージンもちょっと違うというか。むしろ、弟がイワンで少しスメルジャコフ風味なところもあって、じゃあ兄はというとミーチャの鏡像と言えなくもないというか。ただ主人公はアリョーシャではないしゾシマ神父でもないし・・・などとキャラクター当てクイズ的な邪道な読み方でしたが、楽しく読んだので作者さんも許して頂ける事でしょう(笑)。というか、ムイシキンやアリョーシャとの相違点が本作を特徴付けていたりもするわけで。ちなみに、「白痴」も早く新訳が出て欲しいところですが、個人的には次は「悪霊」希望だったりします。それはさておき。


不満点としては、特に中盤以降でキャラクターが活かし切れていないように感じた辺り。もう少し深いところまで把握する努力をして欲しかったというか。特に最後の2章はもうひと踏ん張りして欲しかったところですが、もしもそれが実現していたら凄い作品になっていた事でしょう(笑)。という事で、贅沢な希望なのは確かですが、勿体ない感じが残った作品でした。

また、600ページとは言ってもすいすい読めるので分量はあまり気にならないと思うのですが、(この作者に限らない事ですし、作家というよりは編集の問題という気もするのですが)ちょっと説明が丁寧すぎるのと、お値段が2,940円というのが辛いところかと。普通に色んな方に感想を聞いてみたい作品だけに、残念なところです。

最後にちょっと戯言を書くと、途中から主人公が「風雲児たち」の吉田寅次郎と重なってしまい、あの顔しか出て来なくなったのが困ったところ。あとゴルベーザに注意。



・鶴見俊輔・上坂冬子「対論 異色昭和史」(PHP新書)
・こうの史代「この世界の片隅に(下)」(アクションコミックス)

この2作品は、全く意図せず同じ日に読みました。こういう偶然があるから面白いのですが、戦時中を暗い雰囲気だけではなくある種の爽やかさを伴って語っているのが良いですね。ただ、戦中世代というか、団塊の親世代で当時の事を語れる人はもう殆ど居なくなってしまいました。上坂さんも本書の発売を待たず亡くなられたそうで、そうした世代に関する事を考えたりもしたのですが、本筋からは逸れるので置いておいて。

前者については、対談なのですぐに読める半面、いくつか面白い事を述べておられます。個人的に印象に残っているのは、村八分の解釈とか諫争のお話など。どちらも深入りはしていないものの、読者に少し違った視点を紹介している辺りに年長者の親切を感じるというか。そういえば、作品の中で鶴見さんがとある打ち明け話をするのですが、秘密の処理の仕方みたいなものが垣間見えて興味深かったというか。意地悪な読み方で申し訳ないのですが、色々と連想する事はありますし、ちょっと話し過ぎ・・・と言うよりは、上坂さんの存在が口を滑らせる要因だったのでしょうね。作中で触れていた吉田茂と徳田球一ではないですが、関係の深さには主義主張の別は影響しないという好例でしょうか。

後者については、その魅力を上手く説明できる言葉が見付からないのですが。。。日常を読ませるのが凄い、という事になるのでしょうか。広島に生まれ、嫁ぎ先の呉で戦時中を過ごす主人公。各話のタイトルが日付なので「その日」へのカウントダウンを嫌でも意識してしまうわけですが、悲惨ではあっても温かみは絶えないので、興味が沸いた方は是非どうぞ。



・中沢新一・赤坂憲雄「網野善彦を継ぐ。」(講談社)

偶然といえば、忌野清志郎さんの訃報を聞いた時に読んでいたのが本作。で、基本的な属性としては異端で、しかしながら一般に人気を博したという点で彼らには共通するものがあるなと思いながら、後日続きを読んだのでありました。ついでに言うと、網野史観の影響を受けている宮崎駿さんなども同じグループになるのでしょうし、村上春樹さんも入れても良いだろうし、考え出すと面白そうなグループになりそうです。

で、本作。たまたま歴史コーナーで見付けたのですが、網野さんが亡くなられた時に上梓されているので今から5年前の作品になりますが、網野さんの人物を知るには良い作品かと。彼の史観に接するのであれば直接「日本の歴史をよみなおす(全)」(ちくま学芸文庫)に当たれば良いと思いますが、本作も読んでおいて損はないと思いました。網野史観は既に80年代以降の時代小説を通して身近な存在になっていますし、更には「花の慶次」から最近の「センゴク」に至るまでの漫画だったり、宮崎アニメであったり、その影響はかなりのものなので、興味を惹かれる方は多いのではないかと。

本作の評価で少し難しいのは、タイトルにある「継ぐ」という部分。言葉遊びではないですが、それが「伝える」ではない辺りをどう捉えるか。世代という言い方をするとお二人には嫌がられそうですが、やはりこの世代に特有の傾向が出ている気がしますし、年長者はもちろんとして、団塊Jr.以下の世代がお二人の姿勢をどう評価するかは気になるところです。



・柴田ヨクサル「ハチワンダイバー11巻」(ヤングジャンプコミックス)

最後にもう一つ漫画。ただ、既に知名度はあると思うので、作品については割愛します。

で、作品の中で金の使い方が面白い打ちかたがありまして。元ネタがあるかと検索してみたら、こちらの44手目だそうで。相変わらず2ちゃんねるの人は凄いですね。この金の以降の動きとか、その後お互いに金銀を惜しげもなく費やして意地の応酬が見られるところとか、この対局はとにかく面白いので、駒の動かし方を知っている方は棋譜を覗いてみて下さい。

ところで、この作品とは関係ないですが将棋の話で。昨年の竜王戦は小説よりも奇な展開でしたが、小説でも漫画でも、とにかく作品として残して欲しい気がする今日この頃。ブログ時代で、少し検索すれば面白い観戦記が読めるご時世ではありますが、「名人」(新潮文庫)の存在を考えると物足りなさを感じてしまうわけで。まあ、そこまで行くと高望みという感じも出て来ますが、せっかくの素晴らしい題材に挑む人が出て来て欲しいと思うのでありました。というか、21世本因坊秀哉名人は川端康成という書き手を得られて幸せだったなと。



だんだんと雑談の要素が多くなって、眠たくなって来た兆しのようにも思われますので、今日はこの辺で。
以上、読んで頂いてありがとうございました。


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tag : ゼロの王国 異色昭和史 この世界の片隅に 網野善彦 ハチワンダイバー

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