中央のメッシ

CL決勝直前という事で、怒涛のサッカー記事3連発です(笑)。今回は、メッシが中央に入った時の効果について真面目にまとめてみます。



4-3-3?それとも4-4-2?それとも0トップ

今月初めのレアル・マドリードとのクラシコで、開始5分ぐらいだったか?気付いたらメッシが中央最前線に、エトーが右サイドに位置していました。で、自分はこれを最初は彼ら二人のポジションチェンジだと理解していたのですが、試合後のグアルディオラ監督は4-4-2と表現していて(*1)、更にサッカーブログの多くはメッシ0トップと表現していました(*2)。

これを自分なりに整理すると、守備の場面、ボールを奪い返して攻撃の組み立てを図る場面、相手陣内で攻撃中の場面、と考えると良いのではないかと思ったのです。


<バルセロナ>
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<4-3-3>|<0トップ>|<4-4-2>


簡略化の為に前線の動きのみを強調しているのでご注意を。んで、図の黒丸はメッシですが、守備の時にはボールに近い選手がプレスをかけて時間を稼ぐ間にWGが下がって、4-1-4-1に近い形で守備網を敷きます。これは0506シーズンの例えばミラン戦で、試合を締めくくる目的でエトーとロナウジーニョの位置を入れ替えたのと同じ形で(*3)、確か決勝でも最初のうちはこの形で慎重に試合に入っていたと思います。

ボールを奪い、攻撃の組み立てを図る場面では、中央のメッシに一旦ボールを預ける事で他の選手が上がる時間を稼ぎ、彼らはメッシを追い越していきます。これはメッシのボールキープを効果的に利用したもので、トッティのキープを信じて一斉に上がるローマと確かに同じ形ですね。最近はなかなかエトーにボールが収まらない事が攻撃時のアクセント不足になっていただけに、興味深い発想だと思います。

そして、メッシを頂点にイニエスタとシャビという反則級の三人がトライアングルを組んで中盤を支配して、形としては中盤がダイヤモンド型の4-4-2になります。特にレアル・マドリード戦の場合は、相手の両SHや2トップが中盤の守備を助けに下りて来る場面が殆ど無かったので、中盤の高い位置で完全に数的優位に立った事が大きかったのでしょう。より正確には、両WGのいずれか(主にエトー)が斜めに動いてセンターに入って来て、他方が真っ直ぐ裏に抜けるような連動性があったように見えたのですが、それは右サイドにスペースを作る事でアウベスを呼び込む意図もあったのでしょう。


最後に、ボールが敵に渡った時について。通常の4-4-2(ダイヤモンド型)であれば2トップのいずれかが相手CBを見る事になり、サイドは中盤の二人が見るのですが、あまり中盤を空けるわけにもいかないだけに、結果的にサイドの守備が不安定になる事が多いです。で、それへの対策として、この日のバルセロナは2トップが守備時にはサイドに開いて相手SBを見る事で、サイドでの数的不利を防いでいました。これで最初の4-3-3の形に戻るわけです。

では、相手CBはどうするのか?という事ですが。この日はぺぺが不在だった事もあって、メッシがプレスに行く場面はあまり多くありませんでした。で、面白かったのは、時々メッシに代わってシャビがプレスに行っていた事で。この日のシャビは組み立て時にはピボーテの位置まで下がったり、守備の時には相手CBに行ったりと大忙しでしたが、なかなか興味深い動きでした。

ちなみに、この4-4-2ダイヤモンド型で2トップが相手SBを見る守備の形を、どこで読んだのかが思い出せないのが残念なところ。思い出した時には西部さんの「サッカー戦術クロニクル」だと思っていたのですが、違ったみたいで。。雑誌の特集か、それともどこかのブログだったのか、何とか思い出して原典に当たりたいところであります。



・利点について

この形にする利点としては、既に書いたような戦術的な要素以外にも、以下のようなものが考えられます。
1.メッシの守備の負担を軽減。
2.メッシの運動量を軽減。
3.それによって体力の温存ができる。
4.ボールに触る回数が増える事でリズムに乗りやすい

で、上記のシャビの動きのようにメッシを活かす為に他の選手たちの負担が増える部分は確かにあるのですが、それによってメッシがより決定的な場面で素晴らしい仕事ができるように、という意図が感じられる戦術なのが、個人的には嬉しいところです。あと、数日後のチェルシー戦の事を考えていないかのようにベストメンバーをそのまま送り出す監督の姿勢も素晴らしかったというか。結果が違えば批難されたかもしれませんし、監督であるからには冷静に体力的なことも含め打算した上での結論だったと思うのですが、そうした事を外部からは感じさせないような態度はお見事でした。



・ポジションチェンジを伴わない中央進出の場合

最後に、明確なポジションチェンジを伴わないでメッシが中央に居座る場合。ただ、メッシはロナウジーニョと比べるとどうも真面目という感じで。ロナウジーニョの場合はサイドでマークが厳しいと中央にすぐ逃げてくる事もありましたが、そうした本能に素直に従った動きが奏効するケースも多い一方で、苦境に陥ったままもがき続けて時間だけが過ぎていくというケースも多いわけで。いい加減すぎるのもこまりものですが(苦笑)、もう少しぐらいはわがままな動きをしても良いよ?なんて思ったりしつつ。

ただ、結局この場合だとサイドでは人数不足になるわけで。相手チームにしても、サイドの選手がそのままメッシを追えば良いという感じなので、状況を打開する策としてはどうなのかな?という辺りが正直なところ。決定打としてではなく、あくまでも流れの中での選択肢の一つ、ぐらいに考えておく程度でしょうか。



・対策について

最後に、こうしたバルセロナの動きへの対策について。

基本的には中盤での数的不利を防ぐ事。それからチェルシーが用いたのが、そもそも最終ラインの裏のスペースを徹底的にカバーして、メッシが中央に居てもパスを出す選択肢をゼロにする事。最終ラインから厳密に守備を構築して、前線の守備はその分は緩くなりますが、それよりも一番危険なゾーンで決定機を作らせない事を重視するという対応は効果的だったと思います。

ただ、チェルシーに比べるとマンチェスター・ユナイテッドの場合はそこまでの徹底は逆に危険な気もしますので、打ち合いには応じないものの、完全引き篭もりも無いのではないかと予想している次第であります。どうなるのか、試合が本当に楽しみですね。



以上、今日はこれにて。
読んで頂いてありがとうございました。


参考
*1.戦術家グアルディオラが施したレアル・マドリー対策
[木村浩嗣の「帰ってきた・誘惑と憂鬱のスペインサッカー」]より。「ドリブルを封印し、パサーに徹したメッシ」の段落を参照。

*2.クラシコの雑感
[サッカーの面白い分析を心がけます]より。「メッシのゼロトップ」の段落を参照。

*3.欧州CL:ACミランvsバルセロナ 第2戦 マンオリエンテッドなバルセロナ
[majestic blue:z-net blog]より。「バルサのクロージング」の段落を参照。

0809スペインリーグ エスパニョール 0-2 レアル・マドリー
[蹴球計画]より。デ・ラ・ペーニャを例に、パサーをどの位置に置くべきか?について。とても興味深いです。


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tag : メッシ 4-3-3 0トップ 4-4-2

コメント

No title

相互リンク希望のコメントをいただきましたが、クレジット、FX、キャッシング、商品先物、などなど本記事との関連があるとは思えない上に、コメントも丁寧な物言いではあっても意図が全く記されておらず、定型文と判断できると思いましたので削除させて頂きました。

もしも真面目な申し出だった場合は、お手数ですがもう一度お申し出下さいませ。陳謝した上で検討させて頂きます。
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