MASTERキートン

古い漫画の再読シリーズ。今回は勝鹿北星・浦沢直樹両氏による(と書くと多少問題があるみたいですが、一応クレジットに従って)「MASTERキートン」(小学館)について。

と言っても、今更わざわざ語るまでもなく名作の誉れ高い作品なのですが。個人的にも大きな影響を受けたものです。今回、もう読み返すのは何度目になるのか分かりませんが、それでも楽しく読めましたし、相変わらず考えさせられるものがありました。


初めて本作を読んだのは91年か92年?友達に貸してもらって読んだのですが、とにかく衝撃的で、広い世界を見せつけられたというか。馴染みが薄かった東欧はもちろん、英国などに関しても知らない事ばかりでしたし、湾岸戦争など現実の事件に主人公に絡めて、ニュースとは違った見方を教えてくれたのもこの作品でした。

考古学者にして保険の調査員かつ軍隊経験もありというその設定も見事で、それらの経歴がストーリーの上で上手く絡み合っているのが、今読んでも新鮮さを失わない所以の一つなのでしょう。当時の自分は(今もですが)歴史や考古学に興味を持っていた事もあって、とても感銘を受けたものでした。


今読み返して、例えば推理系の作品などは、人物の登場の仕方で犯人が判ってしまうものもあります。それは、漫画の特性というか、限界によるとも言えるわけですが、その一方で漫画ならではの長所を活かした「見せ方」の上手さもあるわけで。

更に、量的な制約がある中でも展開を二転三転させる盛り上げの上手さ。これもさすがに10巻を過ぎる頃には読めて来るわけですが、そんな可愛げのない読者の意見などは、本作の価値を論じる際には無意味なものでありましょう(笑)。


読者によってお気に入りの話は違うのでしょうが、かつて強い印象を受け、今回読み返しても深く考えさせられたのは、誘拐交渉人の話でした。

人質の安否が気遣われる非常事態に眠りこける主人公。「こんな時に不謹慎な」と憤る地元警察官に、スコットランドヤードのベテランはこう答えます。「彼には8時間ちゃんと睡眠を取る義務がある。」

責任ある仕事を果たす為には「不眠不休でがむしゃらに」では駄目だというこの発想は、自分の性格形成にも大きく作用した気がします。


その他、挙げ出せばキリがないのですが、次点はやはりユーリー・スコット教授の絡む話でしょうか。そのキャラクターを通して提示される「人生の過ごし方」というか。その明確な答えはもちろん明示されるわけはなく、各人が探し求めるべきものではありますが、その基本姿勢とでも言うべきものには今でも感銘を受けます。

主人公にしてもこの教授にしても、彼らは「見たくないものも見ることができる」人たちで、特に主人公は保険の仕事をしているだけに余計にその傾向がありますが、それでも(それだからこそ?)どのように人生を過ごすか、という点で強い意志を持っている辺りに、架空の人物ではあっても尊敬できると思わせるものがあるのでしょう。


以上、あんまりまとまりませんが、そんな感じでこの辺で。
読んで頂いてありがとうございました。



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