4-2-3-1

ジャンルをサッカーにすべきか読書にすべきか。今回は杉山茂樹氏の「4-2-3-1」(光文社新書)について。手っ取り早くエントリーを増やすために新書のレビューを書いている側面も無きにしも非ずですが(苦笑)、色々と言いたい事がある一冊ではあります。

書店で見かけた当初は華麗にスルーしたのですが、システムについてもう少し体系的にきちんと知識を付けたい気持ちもあったのでダメもとで購入しました。


結論から言うと、悔しい事にまずまず役に立ちました。それもこれも自分の知識の貧弱さがなせる業であります。が、良い部分もあるけれど、悪い部分もそれ以上にある、というのが正直なところ。


良い部分は、まずはシステムに脚光を当てて具体例を多数引きながら一冊を書き上げたところ。それから、ある意味で著者の姿勢が一貫しているところ。故に、足りない知識を補ってシステムへの理解を深め、本書の内容に反論ができるようになって卒業する、という道筋が描ける辺りでしょうか。この著者がそこまでを意識して上梓したのならば大したものですが・・・。


悪い部分は、まずは文章そのもの。読者を見下した感がありありで、確かに著者の観戦暦などこれまでの積み重ねには敬意を払ってしかるべきですし、気分の問題ならばまだ良いのですが。その姿勢ゆえに、内容に発展性が損なわれているのが残念なところ。

それから、メディアリテラシーの問題。つまり、自分に都合の良いデータを並べ過ぎているところ。それはまず、具体例として取り上げる試合そのもの。それから、試合を決める要素を単純化しすぎているところ。たとえ1つでも、「サイドこそが試合を決める」という主張が失敗に終わった例を挙げていたら、それだけで随分印象が変わっていたのではないかと思ったり。

個人的には、繰り返し述べられる「一般のサッカーファン」の反応について大いに疑問で。「オシムになって初めて3バックにも色々ある事に気付いた」(引用ではなく要約ですが)などは首を傾げざるを得ない部分でした。それまでは週刊誌やスポーツ新聞の論調を「サッカーファンの意見」として採用していたわけで、それ自体にも疑問を覚えますが、ちょっとオシム監督を持ち上げすぎ(蛇足ながら、ラストの部分でヴェンゲル監督も持ち上げすぎ)かと。


話のついでに、自分は、ヤフーなどにスポーツ新聞が記事を提供して、時には全くの憶測に過ぎない記事(と呼ぶ事すら抵抗を覚えるもの)がトップページの見出しにまでなる現状に疑問を抱いて早幾年。故に、興味のある分野でも、配信元で判断して見出しより先には進まない事が多いのですが。酒の席などではそうした記事に基づいた話題が出たりして、何とも困った事であります。

で、話を戻して、そうしたスポーツ新聞の論調を「ミーハーなファンはこれだから」と見下すのは勝手ですが、マニアックな要素こそを礼賛して偉ぶる傾向は何とかならないものかと。この著者はサッカーを野球と比較して「スポーツとしては優位にある」が「一般の理解は乏しいまま」と思っておられるようですが、野球でもスポーツ新聞の論調は特に変わらず。それどころか、政治や経済についても変わらないわけで、何ともご苦労な事であります。少なくとも、サッカーに興味を持って自分で詳しく調べる意欲のある方々はここ数年でもかなり増えていて、理解の程度も多様化していて凄いものだと自分などは思うのですけどね。


だらだらと書き過ぎたので強引にまとめると。

本書は、何の知識も持たずに読むのは少々危険です。何だか最近ネットでレビューなどを読んでいるとどうも素直な方が多いというか、メディアリテラシーに頓着のない方が案外多い気がするので。まずはサッカーの大まかな歴史について、クライフ登場辺りから始めてサッキ以降は少し詳しく、癖のない文章で読んで知識を仕入れた上で本書を読まれるのが無難かと。で、本書の内容に反論を試みながら読破されるのが良いかなと、そんな感じで。


以上、読んで頂いてありがとうございました。
今日はこれにて。



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