惜別

サッカーの事を書きたいのですが、書きたい事が多過ぎて収拾がつかないままに、日が経つにつれて書きたい事も増えていくという悪循環で、とりあえずは気楽に読書感想文などを上梓しようと思って書いております。といいつつこちらも書き留めておきたい事が多く、それほど気楽でもないのですが・・・まぁいいや。

という事で、先日書いた「右大臣実朝」に引き続いて読んだ太宰治作の「惜別」について。いずれも新潮文庫「惜別」に収録されています。(青空文庫はこちら)


前回、自分は太宰が得意ではないと書きましたが、今回この二作品を読んで、自分が少し苦手な太宰の作品は、村上龍の苦手な作品に似ているのかも?なんて荒唐無稽な空想を思い付きました。所詮は愚か者の戯言故に、ファンの方はお怒り遊ばしなさいませぬよう、寛大な御心でお見逃し下されば幸いであります。


さて、文庫の最後には大抵解説があるのですが、本作の解説の方は「惜別」について、途中から主人公である魯迅の影がうすくなり、太宰が前に出てきているのが不満らしき事を書いておられました。

これは自分が「右大臣実朝」を読んだ時の印象と近いのですが、個人的には「惜別」の太宰はそれほど気にはならず。むしろ素直に楽しく読み終えてしまったのであります。

で、この二作品の差は何かと考えていた時に思い付いたのが村上龍の作品で、自分にとって彼は当たり外れの差が激しい作家なのですが、外れの時には何と言うか彼の自我が臭い過ぎる感じで。嫌悪とかいうものではありませんが、何か笑ってしまうというか。それも嘲笑という意味ではなく、何かしら空回りしている部分を嗅ぎ取って、物哀しさが笑いを誘発するというか。それが、太宰にも当て嵌まりそうな気がしたのであります。


問題発言を許されるならば、太宰にしても村上龍にしても、彼らはやはり秀才であって天才ではないというか、天才ゆえの突き抜けた感じが自分には伝わって来ない気がします。もちろん、だから彼らはダメだとか、天才たる谷崎や川端などより下だとか言うつもりはなく。例えば、彼らが殆ど偏執狂に近い情熱を注いで完成させた作品には、天才タイプとは違った魅力があると思うのです。ただ、その情熱が中途半端になったり、作品ではなく作家たる生身の自分に情熱が向いている時は、やはりどこか中途半端で、作家本人の影が臭いやすい気がするのです。ましてや、彼ら自身が自分の秀才であるが故の能力の限界を強く自覚している時には更に。

逆に言うと、天才タイプの場合には、この上もない駄作であったとしても作品のどこか一部分には天才故の切れ味があって、それが逆に名作をものにする機会をふいにする可能性を高めているのかな?とか、その辺りの妄想は蛇足ですが。とにかく、太宰も村上龍も、その最大の資質は偏執狂的な拘りというか一点集中にあるのではないかと。


話がどうもずれて来ているのは無理に一般化しようとしているからだと思うので、話をこの二作品に戻します。

自分の印象としては、「右大臣実朝」の太宰には気負いがあり、「惜別」では不思議に(太宰にしては珍しいぐらいに)力が抜けているというか、素の状態に近いのではないかと空想を逞しくするのですが、読者によってはこの太宰ですらも(普通の人と比べるとやはり存在が強すぎて)苦手だ、という事になるのかもしれません。

また、太宰の作品が好きな人にとっては、こんな薄い太宰が作品に顕れるのは物足りなく思うのかもしれません。解説の方と自分の印象の違いを手っ取り早く説明するならこんな感じなのかな?と思ったもので、長々と書いてみました。


最後に、話の中で周樹人(後の魯迅)が「孝」について、上のものが政治を行う上で都合が良いように利用しているだけで云々・・・と語る部分があります。これは徳川幕藩体制の我が国でも同じ様なものだったはずで、今に至っても「目上の人に表立って反対してはならない」的な悪弊として残っている気がするだけに、耳の痛い話でありました。

社会的な傾向だけに改めるのは難しい事ですが、形だけの「孝」と、見えぬところでのぞんざいな扱いと。せめて自分の親に対してぐらいは、そんな扱いをしたくないものだと、自戒を込めてここに明記しておくものであります。


しかし、滝沢馬琴は八犬士の中で「孝」の犬塚信乃を最初に登場させており、主人公的な役割を担わせているのですが、これはやはり幕府の朱子学教育の影響が大きいのでしょうか?子供の頃に不思議に思ったのが、どうして「仁義礼智忠信孝悌」のうち7番目の「孝」の犬士がこんなに目立つのか?という事で。後半になって「仁」の犬江親兵衛仁が活躍する事はすんなり納得できましたが、まさかこの年になって一つの仮説を得られようとは思いもしませんでした(苦笑)。


と、長々と書いてしまいましたが、読んで頂けたならありがたく、篤く御礼申し上げます。
という事で、今日はこれにて。



p.s.ペットのひみつ日記

おぼえたい2008.03.14
さいきんおぼえた
和田、強制、連想、列挙、トリノ

どうでもいいですが、アルファベット表記の単語も覚えてくれるのでしょうか?今度やってみよう♪


かんそう2008.03.15
ホワイトを読んだ
選手は女子のクロスカントリーに出場するのかー

北イタリアでこそ出場が叶うのでありまして、ロンドンでは難しいのでお気を付けを。


かんそう2008.03.15
ホワイトを読んだよ
説明するみたい

イマイチ自分でも良く分からない日記になってしまったので、代わりに説明よろしく。


かんそう2008.03.16
ホワイトを読んだよ
強制するみたい

そうそう。日記の真の意図とかどうでもいいから、強制して納得させれば良いんだよね。


よんだ2008.03.17
ホワイトを読んだ
自覚するのかー

自分ではなかなか面白い文章が書けたと自覚しております。ここだけの話ですが。


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