徳川家康

読了したものの、レビューをしないままに積まれている本が増えて来たので、適当にレビューして行きます。

まずは、北島正元「徳川家康 組織者の肖像」(中公新書)。1963年初版なので半世紀近く前の作品になりますが、ちょいと家康について復習したくなったので読んでみました。


半世紀も経てば、歴史学の進歩に追いついていない古臭い記述が多くなりそうなもので、そうした傾向は確かにあるのですが、ざっと家康の生涯を理解するにはこれで充分ではないかと思います。

最近の新書は何の知識も無くても気軽に読める反面、どうしても内容は浅くなってしまいがちですが、この時代の新書は、「基本的な知識は持っているものの、専門書に手を伸ばすほどではない」層をターゲットにしているだけに、通して読むと教養として充分な程度の理解が得られるのが良いですね。


「領国支配」と言ってもその支配の程度・やり方は様々ですが、この本では家康が危機を克服するたびに、「近隣の武士団の頭」から「中世封建的な大名」を経て、より効率的に領国を支配した「近世絶対君主的な大名」となり、遂にはその実力でもって「全国の大名を統制する将軍」にまで登り詰める様子が描かれています。


そして特に好印象なのは、その立身の詳細について、派手な戦闘や外交だけでなく、地味であるが故に記述を省略されやすい内政についても、ある程度ページを割いて説明している事でしょうか。

この時代で勝ち抜くには大名本人が諸般に秀でていないと無理なのでしょうが、専門書ではないにもかかわらず内政家としての家康の能力をうかがい知れる点は、或いは本書の一番の長所ではないかと思ったのでした。


その他、個人的には、戦国時代の武士の倫理(物質的関係が基礎にあった上での主従関係)と、江戸時代の儒教的な武士の価値観(絶対服従的な主従関係)との相違、更に戦国時代における武士の意地と江戸時代における武士道の相違について、ちょいと考えさせられました。


そんな感じで、古いことも含めてくせがあって読み手を選ぶ点を考慮して、5点満点で3点ぐらい、としておきますが、興味のある人にはお勧めです。


以上、読んで頂いてありがとうございました。
今回はこれにて。


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