日本シリーズ雑感。

今年のプロ野球日本シリーズが終わりました。9年ぶりの出場で29年ぶりの日本一を目指した阪神タイガースですが、ソフトバンク・ホークスに敗れ、その大きな夢は持ち越しとなりました。今回の結果は残念でしたが、日本シリーズで贔屓のチームを応援できる楽しさを満喫できたので、以下に雑感を書き残しておきます。
なお、敵地でのシリーズ連敗ストップというささやかな夢も果たせぬまま終わり、所沢での胴上げを最後に勝ち星から見放されたままなのが地味に辛いですね。。


さて、総評としては、勢いでクライマックス・シリーズを勝ち抜いて出場した阪神が、このシリーズでは勢いに乗れず後手後手に回ってしまった事が全てだったと思います。それは細かなミスが積み重なった結果とも考えられますし、そもそも短期決戦なのだから、細かなミスを徹底的に排除して緻密な野球を目指すのが王道だとは思います。が、ここ最近の阪神はそのようなタイプのチームではないので、今更そこを責めても仕方がありません。獲得選手にしろ采配にしろ、理論より感情、セオリーより感覚という傾向である意味一貫していたわけで、「今岡タイプばっかりや」と野村元監督がぼやきそうな状況ですが(笑)、もし彼が監督であればシリーズ出場は難しかったでしょう。

相手の秋山監督は難しい場面でも采配がスムーズで、その辺りは経験の差が出たと言っても良いかもしれません。とはいえ和田監督には局面における最適解を求めていたのではなく、そうした手腕に劣る事を承知で、逆境に陥っても選手を乗せて行って欲しいというモチベータ的な役割を期待していたわけです。つまり残念だったのは、監督が選手を見るより状況への対応ばかりを考えていたように思えた事でした。決断を丸投げして選手を過度に緊張させるのでもなく、細かな指示を与えすぎて選手を混乱させるのでもなく、状況に限定された中で選手の自主性を尊重するような姿勢が采配からもっと窺えたら良かったのにな、という辺りが今の率直な感想です。

ホークスは投打とも怖い選手が揃い采配もブレがなく、日本一に相応しいチームだったのは確かです。しかし、そんな素晴らしい相手に対して自分たちの力を出し切れなかった事が、ファンとしては敗れた事以上に残念だったのでした。


以下、各試合において印象に残った事を簡単に。


■第一戦:自らグダグダな試合に

5回裏の阪神の攻撃と6回表のホークスの攻撃。いずれも次にピッチャーに打順が回る状況で、投球に不安定な部分が出て来た中で、両チームとも続投という選択をしました。11年前のまだダイエーだった頃のホークスを相手の第三戦、ピッチャーの和田に代打を送った王監督の采配を思い出したのですが、指名打者のないセ・リーグ本拠地の試合で結果を大きく左右しかねないのが投手の交代という問題です。

さて、ここで5点取った阪神と1点に終わったホークスで明暗が分かれましたが、不思議な事に先発のメッセンジャーはその裏も打席に立ち、次の回もそのまま続投。更に1点を失ったものの何とか抑えて7回2失点でマウンドを降りました。数字としては及第点ですが、この2イニングでの間延びした雰囲気を考えると、4点差での快勝と表現するには微妙な印象が残りました。6回途中か遅くとも7回頭からはリリーフを出してキッチリ試合を締めておいた方が良かった気がします。


■第二戦:鳥谷の走塁死

6回に1点差に詰め寄った後の7回。先頭で出塁した鳥谷が二塁で走塁死した場面。この直前に捕手がボールをこぼす場面があり、そして再びボールを落としたのを見て二塁を狙った、という流れでした。結果から見れば判断ミスですが、同じ場面に立ち返った時に、走るという彼の決断が間違いだったと言えるかというと…難しいですね。

この試合自体は「相手のピッチャーが良ければどうしようもない」という結論に落ち着くと思うので、このプレイが勝敗を左右したとまでは言い切れません。だからこれは試合の勝敗を離れた個人的な興味という話になるのですが、一度目の捕手のミスを見て生じた「走れば良かったか?」という迷いが二度目のパスボールを「またとない好機」と過大評価してしまう原因になった事は、過酷な勝負の世界に生きるスポーツ選手だけでなく我々にとっても他人事ではないよなぁ…などと思ったのでした。


■第三戦:西岡のフィルダースチョイス

2点を先行される苦しい展開で迎えた6回。2アウト満塁のピンチで打ち取った打球をサードの西岡がセカンドへ送球。投げる時点でランナーを目にしていれば間に合わないと判断できたはずで、これは大きなミスでした。状況的にもシリーズの流れを左右しかねないプレイでしたが、彼の肘や肩の状態を承知の上で攻撃面を期待して起用したのだし、起きてしまった事は仕方がない。それよりも、これが心理的に尾を引かない事が最重要だったのですが。。。


■第四戦:鳥谷のヒットで勝ち越せず

完全に打線の勢いが止まっている中で、先行されながらも何とか追いついて迎えた延長10回。ヒットで出た西岡を2塁に進めて、鳥谷の当たりはライナーでセンターへ。塁間を2/3ほど走って西岡は一旦止まり、ボールが地面に着いたのを見て3塁へ。3塁コーチの動きがテレビからは判らなかったので断言はしにくいですが、ランナーもコーチも相手選手の守備位置と打球の動きをもっと早く確認すべきだったのではないかと思いました。そして、確認の為とはいえ西岡が中途半端な位置で止まってしまった事は、前日の失敗を払拭できていないと露呈したようにも思えました。

もし仮に相手のファインプレイがあれば最悪のダブルプレイで、アウト2つを遙かに上回る悪いイメージを植え付けられかねない場面だったので、1-3塁とチャンスが続いた事は不幸中の幸いと考えるべきかもしれません。しかし、次のゴメスが併殺打に倒れた結果を抜きにしても、このシリーズで一番好調だった鳥谷のヒットで勝ち越せていたなら、単なる1勝以上の気持ちのゆとりがチームに生まれていたように思います。シリーズを振り返っても、日本一になる最後のチャンスがあの場面だったな、と思えてしまうプレイでした。


■第五戦:最後まで後手に回る

0-0の緊迫した試合展開で、明らかに安定感を失った先発メッセンジャーを引っ張った末の8回。遂に先制を許した後で守護神の呉をマウンドへ。前日も安藤を引っ張ってピンチを迎えた場面での登場、結果は最悪のサヨナラ本塁打でした。絶対的な守護神であれば第四戦のあの展開・あの場面でこそ抑えて欲しいとは思いますが、二試合続けて継投が後手に回ったのは明らかに采配の問題だと思います。抑えのサファテの調子が悪かったので最後にチャンスを作れましたが、残念ながら勝てる流れとは思えませんでした。


■まとめ

最初に書いたように、勢いのチームが流れを自ら壊してしまった事が敗因と言って良いでしょう。それでも多くの試合で終盤まで緊迫した展開になったのは選手達の自力の賜ですが、それだけでは日本一になるのは難しいと判明したシリーズでもあったと思います。そしてそれは、リーグ優勝に手が届かなかった原因でもあると思います。

次にこの舞台に帰ってくるのが何年後になるのか分かりませんが、できるだけ早く、そして次はリーグ優勝も果たした上で日本一を目指して欲しいものだなと、そんな〆で今日はこれにて。

テーマ : プロ野球 - ジャンル : スポーツ