今年読んだ本について。

年々時間の余裕が無くなっている気がする年の瀬で忙しない昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今年もお世話になりました。2014年も宜しくお願いします。

という事で、毎年恒例だったようななかったような記憶があやふやですが、今年読んだ本についてざっくり書き残しておきます。


■全般的な傾向

個人的に、悩みながらの読書が多かった一年でした。それは大きく分けて二つの意味合いがあるのですが、一つは関連書が際限なく繋がって行く為に、そしてもう一つは自分が読みたい類の本を周りで読んでいる人が居ない為に、迷いながらの読書が多くなった年でした。

前者については、思い切りポジティブに考えれば自分の中の要求ラインが年々上がっている証左と言えなくもないのですが、一冊読み終えるたびに参照したい本が十倍に増え、その中の何冊かを何とか読み終えた頃には当初の切っ掛けであった書籍の内容を大半忘れているという、つまり自分の記憶力の貧弱さを示しているとも言えるわけで。残念だなぁという気持ちと、しかし何度読んでも面白いから結局自然に再読してしまうという前向きな気持ちと、両者が絡み合って全体としては楽しい日々であったと思います。

後者については、後で書きますがライトノベルに属する小説を読んでみたり、普段とは違った経験のあった一年でした。という事で、以下ざくっとジャンル別に思い出すまま書き記して行きます。


■江戸時代の思想から古典へ

昨年は岩波で「読史余論」を読んだところ、無情にも読了のすぐ後に講談社学術から現代語訳が出版されたわけですが。今年の初めに荻生徂徠の「政談」がやはり講談社学術から出たので読んでみました。この本はかつて立ち読みでざっと目を通した事がありましたが、印象がさほど変わらないのが面白かったです。つまり、読み始めは「さすがに古いし昔の話として読んでおくか」という程度だったのが、確かに江戸中期という時代ゆえの制約はあれども徂徠の筋の通った考察に次第に引き込まれて行く事になり、読了時には「やっぱり読んで良かったなぁ」という感想になったのでした。

で、そこから江戸時代の思想の概略について中公や岩波の新書を引っ張り出して復習して、そこから小林秀雄の「考えるヒント」や山本七平の「現人神の創作者たち」に寄り道しつつ中国の朱子学成立辺りから春秋戦国まで遡る形でいくつか新書を読んだりして、ついでに古代ギリシャと比較しながらいまいち身に付かないままこの歳になってしまった教養の底上げをしようとして、見事に失敗・破綻したのが夏頃の事でありました(苦笑)。


■先の大戦から戦後史へ

今年は残念ながら政治面で中韓との諍いが多かった一年でしたが、ようやく翻訳されたとネット界隈で話題になったヨーコ・カワシマ・ ワトキンズ「竹林はるか遠く」(ハート出版)を夏頃に読んでみました。戦争を伝えるという意味で広く読まれて欲しい作品なのは確かですが、一方で本書は既に政治的な意味合いを含む存在になっていて、作品の内容とは違った部分で批評が展開される事が多いのが残念だなと思いました。

なので気兼ねなしに読めるものという事から、藤原てい「流れる星は生きている」(中公文庫)を引っ張り出し、そしてハルバースタム「朝鮮戦争」(文春文庫)の圧倒的な叙述に埋没して、内外の戦後史を山川の参考書や幾つかの新書などで確認しながら堪能しました。できるなら、こうした作品を原文で読めるようになりたいものだなと。


■ライトノベル

世間的に盛り上がったのはアニメ化された昨年だったらしいのですが、川原礫「ソードアート・オンライン」(電撃文庫)という作品を読んでみました。もともと自分は、誰か他の人が好きなものについて語っているのを聴くのは好きな方で、それが自分にとって未経験のものでも特に支障はないのですが、やっぱり自分も読んでいる方が会話が楽しいかなと思ったもので。

で、アニメを半年分見るのは辛いし、小説一気読みが一番時間が掛らないという邪な理由で読んでみたのですが。。最近の漫画やライトノベル界隈はメタがメタを呼ぶ展開が流行りかなと勝手に思っていたところ、懐かしの普通にヒーローが活躍する形式だったので意外な印象でした。たとえが古いですが、かつて「ロードス島戦記」を評価していた意見と貶していた意見が、そのままこの作品でも使えそうだなと思いました。

もう一つ個人的な副次的な事として、この作品を一気読みできた事で時間の余裕を考えられるようになりました。つまり時間が無いから他の事にはなかなか手が出せないなぁ…と思っていたのが、他の事は維持したまま、そして気合いを入れて挑んだとはいえ本シリーズを一週間で読み終えられた事で、もう少しやりたい事を広げても大丈夫かなと思えたのが嬉しかったです。これは年末に洋書読み目当てでKindleを購入する事に繋がりました。


■理系本

今年はNHKの白熱教室でも取り上げられたルーウィン「これが物理学だ!」(文藝春秋)とソートイ「素数の音楽」(新潮文庫)が印象に残っています。録画をミスしてソートイの最終回を見逃して泣きそうになったのですが、それぐらい講義も著作も良かったです。両教授の素晴しさは物理と数学の楽しさをそのまま伝えてくれる点にあるのですが、欲を言えばそうしたワクワクする楽しさを満喫しつつも、もう少し内容について語れるように、つまり叙述をそのまま引用するに止まらない感想を述べられるようになりたいなと思ったのでした。

ちなみに年末年始は、既に読み始めているムカジー「病の皇帝「がん」に挑む」(早川書房)をじっくり堪能したいと思っています。


■おしまい

来年はもっとジャンルを広げて、関連本もより広くカバーできるように、そして何よりも楽しく本を読めたら良いなと思います。ここ数年は感想を外に出すよりインプット優先という傾向でしたが、もう少し読んだ本について書き残せたら良いなぁとも思いつつ。何かレビューなりを書けた時には、良かったら目を通してやって下さいまし。

では、今年はこれにて。

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