クラシコ雑感

なかなか時間が取れず今更ですが、クラシコについて簡単に書き残しておきます。

個人的には、クラシコはバルサ優位のほうが楽しめるイメージがあります。それはどんな逆境でもレアルはレアルであり、一方でバルサは逆境で為す術なく敗れる印象があるからですが、ペップ時代より前のバルサを知らない人々からするとイメージは逆になるのかもしれません。

また最近のクラシコは戦術的に硬直している部分があり、どちらが勝つにせよ内容に不満が残る試合が多いように思います。

以上のような理由から、今回のクラシコもさほど期待せず観ていたのですが、それが半分当たって半分外れたという試合でした。


■バルセロナの攻撃

まずメンバーから。GKシュテーゲン、DF右からセルジ・ロベルト、ピケ、ウムティティ、ジョルディ・アルバ。中盤底にブスケツ、左にイニエスタ、右にラキティッチ。前線右からメッシ、スアレス、パコ。守備時にはパコが中盤左に入って4-4-2になっていました。

中盤の構成力でレアルに劣るようになってからどれほど経つのか。全盛期のシャビ・イニエスタ・ブスケツが君臨していた頃と比べると雲泥の差で、軽くプレスを受けただけで前にボールを運べなくなる状況は見ていて切ない限りです。

それはピッチ上の面々も理解しているのか、或いはキーパーまではあまりプレスに来ないレアルの守備上の約束を逆手に取ったのか、キーパーに戻してメッシにロングボールを蹴る場面が時々ありました。こうした動きはリーグ戦でボールを運べないときにも見掛けるので一つの選択として認知されているのだと思うのですが、それで何故かメッシが競り勝ったりするのだから不思議なものです。

レアルの守備にも助けられて、この試合ではメッシに一対一を挑ませたり、メッシからのパスを引き出すような動きが多く見られました。悪い時のバルサは他に手がないので守備の形が整った敵めがけてメッシが特攻→失敗→カウンターという後手に回る展開が多いのですが、この試合ではボールを前に運べさえすれば、主導権を握った状態でメッシを活かす攻撃ができていたと思います。


■レアルの守備

こちらもメンバーから。GKナバス、DF右からカルバハル、ナチョ、ラモス、マルセロ。中盤底にカゼミロ、その前にモドリッチとクロース。前線はベイル、ベンゼマ、ロナウド。守備時にはロナウドを上げて4-4-2になるのは同じですが、開始直後はベイルが左サイドに居たりと変な形でした。そのベイルは前半のうちに負傷交替しています。

前述のバルサの問題があったので、おそらく前線から熱心にプレスをかけてショートカウンターを連続させれば高い確率で複数得点を得られたように思います。しかし週の半ばにCLで120分を戦い抜いたこともあり、そこまでしなくても勝てるという自信もあったからか、前線から守備を発動するのは気紛れという程度の頻度に止まりました。

ブスケツへのマークもさほど厳しくなく、前を向いたメッシを4-4で緩く迎え撃つ守備は、さすがに相手を舐めすぎているように思いました。前線からの守備をしない場合でもブスケツはベンゼマにしっかり見て欲しいところですし、カゼミロが先読みで相手の攻撃を潰していたとはいえ、中盤での連動した守備の強度は低調なものでした。上手く相手選手を囲む良い守備がたまにあるという程度でした。


■軽い守備が失点を招く

レアルの2点目とバルサの3点目は、いずれも軽いプレイが裏目に出た形になりました。自陣奥深くであれほどマルセロをフリーにしたラキティッチも問題なら、セルジ・ロベルトの長駆を許したマルセロも問題だったと思います。

とはいえ両選手の局所のプレイに問題があったと言うよりは、それらが象徴する全体的な軽い守備に問題があったのだと思います。両選手はただ単にババを引いただけという感じですね。

そして両チームの守備に問題があれば試合はダレるものですが、そうならなかったのは両チームの攻撃への意識が際立っていたからなのでしょう。10人になったレアルが前に出た姿勢も見事なら、ラストのプレイでメッシが最後に姿を現して千両役者ぶりをアピールしたのも見事でした。

欲を言えばイスコが(それもスタートから)見たかったところですが、それはアトレティコとの試合でのお楽しみという感じですね。


■結論

最初に書いたように、戦術的には意外な部分は全くありませんでした。モウリーニョがぺぺを中盤で使ったり、ペップがアウベスをウイングで使うような奇抜な策もありませんでしたし、メッシに常にダブルチームで臨んだり、ロナウドがサイドを変えるごとにプジョルの位置を変更するような緻密な守備も見られませんでした。

一方で、観る人にとって面白い試合になっていたのも確かです。レアルのファンからすれば当然に不満の残る結果ですが、最後以外は内容も良かっただけに、あまり尾を引かないような負け方だったのではないかと思います。ペップ時代のバルサは次に対戦するが嫌になるような勝ち方でしたからね。

今シーズンも終わりが近付いて来ましたが、リーグ戦での上位対決は終わったもののCLでマドリー・ダービーがあるので、それを楽しみに待っています。個人的な希望としてはリーグがマドリー、CLがシメオネ・アトレティコ、国王杯がバルサでタイトルを分け合って欲しいなと思っております。

以上、今日はこれにて。

レアル・マドリード対アトレティコ・マドリード

ちょっと余裕がないので、まとまりに欠けるかもしれませんが、ざっと試合を振り返ります。


■ジダン監督の采配

ジダンの采配は所々で良く解らない、というのが正直なところ。詰めの甘い部分は色々とあるのですが、それが問題になるより前にしっかりと仕込んだ部分が成果に繋がって結果を出しているという印象です。

大まかに言うと、切り捨てる部分を選ぶのが上手いという点が監督としてのジダンの最大の長所で、逆に状況の変化に対応しきれないという点が最大の短所かなと思います。


この試合でジダンが選んだのは、相手にボールを渡した上でのショート・カウンターでした。まるで相手のお株を奪うかのように、前半のアトレティコのビルドアップを妨害する守備はよく練られたものでしたし、自陣の後方から繋ぐ事に執着しない辺りも監督の意図が選手に浸透していたと思います。

とはいえ、レアルは伝統的にボールを持って攻撃するチームですし、守備のタスクを選手に徹底するのは難しいものです。ジダンの選手時代の実績がそれを可能にしているという分析もありますが、例えばモウリーニョ時代と比べると守備面での拙さはありますし、つまり選手に守備の意識を徹底できているとは自分には思えませんでした。


それが表面化したのは後半になってアトレティコが4-3-3に変更してからでした。この試合のレアルは4-4での守備を基本としていて、たまにロナウドが守備に加わると4-1-4に移行する形。その辺りの判断はカゼミロやクロースに任されている印象でした。しかしアトレティコがサイドに選手を多く置くようになると、カバーの決まり事などがあやふやだったのでそこからチャンスを作られたり、ゴール前で相手選手に前を向かせる場面も増えて来ました。

こうした状況に対して、ボール保持を高める為にイスコを投入したり、右サイドの守備を手助けする為にルカス・バスケスを投入するのは、理由としては理解できるものでした。しかし、それをピッチ上の他の選手が理解していたかというと難しいものがあります。特に前線の選手達としては、前半同様に全体的に押し上げて、カウンターであれポゼッションであれ自分たちの攻撃の時間を増やしたいという気持ちが強かったように思います。


こうした明らかな綻びがありながらも、ジダンのチームは失点を1に抑える事に成功します。この辺りは「ジダンは運命の女神に愛された存在だ」という分析に頷きたくもなりますが、一方で監督としてのジダンのバランス感覚ゆえではないかと思う気持ちもあります。

仮定の話ですが、もしもベニテスやモウリーニョが指揮を執った場合、ジダンに比べて選手に要求する守備面での動きはもっと複雑かつ多大なものになると思います。そして物事は、指示が長大でどんな状況にでも対応できる内容であるほど上手く運ぶかというと、決してそんな事はありません。むしろ、最低限の指示に絞ってそれを完璧に履行させる代わりに、指示以外の事については臨機応変にと現場に任せてしまう方が、良い結果に繋がる事が多々あります。

自分が考えるジダンの長所とはまさにそれで、そしてこれは短所と表裏一体のものでもあります。仮にアトレティコが同点に追いついた勢いのまま攻撃を続けていれば、大人しく敗北を受け入れる以外の選択肢は無かったと思います。



■ジダン監督の采配その2(クラシコ)

ここで、今シーズンのレアルにとって転機となった一戦。先月の敵地でのバルセロナ戦を少し振り返っておきます。


この試合でもレアルの守備は4-4が基本で、ロナウドが戻って来るなら余った一人が相手のボール保持者にプレスを掛けるか、それとも中盤の底で一人余らせるかという仕組みでした。ロナウドは確かに自陣深くまで下がって守備を頑張る場面もありましたが前線に残っている時もあり、守備面での貢献は巷で褒められているほど確実ではなかったように思いました。ベンゼマのブスケツへのマークはさほど厳しいものではなく、バルセロナのビルドアップを妨害できていたかというと微妙でした。

微妙な点は他にもありました。まず4-4の守備が中央に偏っていて、サイドに選手を増やされたらどう対応するのかという不安が残りました。クラシコではメッシもネイマールも中央突破に執着したので大した問題にはなりませんでしたが、この点は先に述べたようにアトレティコに付け入られる隙となりました。

更に、前半はボールを奪った後のビルドアップが整備されておらず、BBCが自陣の深い位置からダッシュをして少人数で攻撃を終わらせるしか方法がありませんでした。こうした幾つもの綻びゆえに、後半にバルセロナが先制した時点で勝負は決したかと思いました。


しかし、長所が場合によっては欠点にもなるように、付け入る隙だと思われた点が状況が変わると利点になることもあります。前半はBBCのスプリント頼みだった攻撃のお陰で、他の中盤の選手は体力を温存することができました。バルセロナ相手に後半の途中でバテてしまう展開はレアルに限らずよく見られる現象ですが、この試合のレアルの選手達は後半の終了間際まで走れる体力が残っていました。

また、前半に相手の攻撃を受け続けたことで、早い時間に相手のボール回しに慣れたのも有利に働きました。後半のマドリードは相手のビルドアップを妨害できる選手配置になっていて、これは事前の準備に前半の経験が加わることで精度の高いものになっていました。おそらくこの時の経験がアトレティコ相手の前半にも活きたのではないかと思います。

同点に追いつく少し前からのレアルの攻撃は素晴らしく、そして内容そのままに逆転で勝利という結果も得ました。アトレティコほど守備面での完成度はなく、バルセロナほどポゼッションからの攻撃の精度が高いわけではなく、しかし短所を晒しつつも長所で相手を押し切れるクラブ。中でも相手のビルドアップを妨害してからのショートカウンターの冴えが抜群の、対戦相手にとって嫌なチームが、この時に完成したのではないかと思いました。



■シメオネ監督の采配

まず采配の話の前に、アトレティコの最大の強みが守備であるのは確かですが、彼らとてスペインのクラブであるだけにポゼッションは普通にできます。つまりボールを持たされてもそれほど苦にせず、レアルやバルセロナ相手であっても自ら攻撃を仕掛ける時間帯を作る事ができるチームです。この事は過去のリーガ・エスパニョーラでの試合を見れば判ることだと思います。

つまり、この試合の前半にアトレティコのビルドアップが上手くできなかったのは、彼らに原因があるのではなくレアルの守り方が上手かったからだという事です。先に述べたように、クラシコの後半にはバルセロナのビルドアップにすら対応していた面々が相手です。前半の光景だけを見てアトレティコはボールを保持しての攻撃が下手だと断じるのは勿体ないことだと明記しておきたいと思います。


さて、そんなわけで先手を取られたアトレティコでしたが、先制した後のレアルが少し引いたことで徐々にボールが運べるようになり、そして後半からシステムを変更することで試合の流れを引き寄せることに成功しました。しかし同点に追いついた後、2トップに戻したことで自ら得た流れを失いました。

残念だったのは、延長上等という姿勢に見えたのに延長に入ってからも積極的に前に出られなかった点でした。前回の決勝で90分で力尽きたトラウマがあったからか、それともピッチ環境が悪く敵味方ともに足を攣る選手が続出したのが誤算だったのか。仮に90分で決着を付けるという意識で同点後も戦っていれば、試合はほぼ確実に彼らのものだったように思います。


シメオネ監督の采配については、去年までで既にスタイルが完成しているだけに、予想外の一手というものはありませんでした。とはいえ、ほぼ同じメンバーで4-4-2から4-5-1から5-4-1まで細かなバージョン違いも備えつつ変化させられるのは、監督がチームを完全に掌握している事と戦術に深い理解がある事の証拠ですし、それ以上を求めるのも難しいように思います。

バイエルンのグアルディオラ監督もですが、できる事を最大限に突き詰めてチームの弱点を徹底的に克服して来た監督が最高の結果には届かず、一方で素人目にも幾つか隙があるように思えるチームが最高の結果を得られるというのは、ある種のアイロニーでもあり、しかし納得できる展開でもありますね。



■おしまい

最高の結果を残したジダン監督ですが、来シーズンはチームがより攻撃を志向することになるのでしょうし、そこでの舵取りは難しいものになると思います。少し前にチェルシーでCL優勝を果たしたディ・マッティオ監督と境遇が似ている気がして不安になりますが、彼ならではのバランス感覚で内容と結果を両立させてくれる事を願っています。

シメオネ監督は退任の可能性もあるとの事ですが、彼の存在なくしてリーガで二強と争う事も、CLで優勝を目指す事も難しいと思うので、何とか気持ちを切り替えて今季と変わらぬ強いチームを来期も見せて欲しいものです。

ユーロは参加国が増えてレベルが落ちそうですし、コパ・アメリカは去年に続いての開催で、サッカーを見るモチベーションが低下気味ですが、来期もまたレベルの高い戦いを見られる事を願いつつ。
今日はこれにて。

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レアル・マドリード対バルセロナ

特にどちらかを贔屓にしているわけでもなく、自滅による一方的な展開も好きではないので感想を書く気が起きなかったのですが、試合を見直す機会があったので簡単に書き残しておきます。


■スタメン

敵地に乗り込んだバルセロナは4-3-3。キーパーがブラボ。ディフェンスは右からアウベス、ピケ、マスチェラーノ、アルバ。中盤は底にブスケツ、右ラキティッチ、左イニエスタ。前線は右にセルジ・ロベルト、左ネイマール、中央にスアレスという布陣でした。怪我明けのメッシはベンチから。

本拠地で迎え討つレアル・マドリードは4-2-3-1。キーパーがナバス。ディフェンスは右からダニーロ、ヴァラン、ラモス、マルセロ。中盤は右にモドリッチと左にクロースが並んで、その前に右からハメス、ベイル、ロナウド。1トップにベンゼマでした。


■マドリーの守備組織

一応は4-2-3-1と書いたものの、守備の局面において前線の4人はあまり戻って来ず、極端に言えば4-2-4のような形になっていました。4人の中ではまだハメスが守備に戻って来ていた方ですが、それでも移籍初年度のベイルがクラシコで守備に奔走していた姿と比較すると雲泥の差で、強豪相手ですら守備を選手に徹底できていない監督の手腕が問われる展開だったと思います。

また、攻守分断であっても前線の選手達が連動して守備に動くと相手にとっては嫌なものですが、この日のマドリーの選手達は個々人が勝手に動いているだけで、バルセロナの守備陣に簡単にボールを運ばれていました。ベニテス監督はリバプール時代、前線からのプレスを武器に粘り強く戦って、バルサとレアルを相手に敵地のCLで勝利した過去があります。しかし、それが完全に過去の栄光であると思わせるほどチームとして形になっていない姿がそこにはありました。


■バルセロナ対策の変遷

2008年にペップが監督に就任して以降のバルセロナに対し、各チームは色々と対策を考えて来ました。それに対し、バルセロナも更なる対策を立てるという繰り返しで、そうした戦術的な応酬は、ここ数年のサッカー観戦を盛り上げる一つの重要な要素となっていたように思います。

右サイドでメッシを孤立させる策に対し、敢えて攻撃時に右サイドを空にしてメッシを中央でプレイさせる0トップ(偽9番)。それに対しゴール前にセンターバックを4人並べて実質6-4-0で防いだチェルシーや、4-5-1で中盤を厚くした上に1トップもブスケツに張り付かせてバルサの中盤を妨害したモウリーニョ他のライバル達。更には中盤にバルサのプレスに負けない巧さを備えた選手を配した上で、サイドを捨てる中央圧縮の4-4-1-1でバルサ対策の雛形を示したペジェグリーニのマラガ。この形ではセカンドトップがブスケツ番になりますが、守備組織を整えて相手を追い込んだ上でメッシかブスケツからボールを奪うという方針が、バルサ対策の基本となりました。これは勿論、彼ら二人の存在感の大きさの証明でもあります。

戦術として確立したバルサ対策に対し、セスクに中盤と偽9番とメッシのフォローというワーカホリックな役割を与える3-4-3や、両ウイングをサイドに張らせる4-3-3などで戦術の幅を広げようとするバルセロナでしたが、それは彼らの戦術の基本である4-1-2-3にメッシの0トップと前線からのプレスを組み合わせた布陣の完成度を落とす事になりました。その結果、チームはメッシの得点力に深く依存するようになり、メッシもまた走らない等と批判を浴びる事になります。

そうした悪い流れの中で、バルセロナは昨シーズンが始まる前にスアレスの獲得に踏み切りました。移籍金の高さや彼の問題行動、更に前線三人の連携など不安な意見は多々ありましたが、バルサの選手達はそうした声を結果でねじ伏せました。相手チームの多くは、彼ら三人を相手にするよりも彼らにボールが届かないようにする戦術で試合に臨みました。実際、昨年のクラシコでも、中盤の選手の顔ぶれではバルサよりもレアルの方が上回っていた印象があります。しかし、ロングボールを厭わず、カウンターも備え、リードした展開では無難に後方でボールを回す事も忌避せず、そしてボール繋ぎと前線からのプレスも徐々に往年の水準を取り戻していったバルセロナの前に、ライバル達は敗北を重ねました。

今シーズン、どのクラブがバルサを止めるのか?に加えて、どのように止めるのか?という観点で盛り上がっているサッカーファンは少なくないと思います。そして、相手の戦術を受けて対策を立てるという点で、ベニテス監督は期待されていたように思います。が、残念ながらこの試合では、そうした楽しみを体験するどころか、可能性すら感じられなかったように思います。


■今後の期待

今回の敗戦で、どれだけ自軍の攻撃陣が優秀でも、無秩序にバルセロナに挑むだけでは勝つ見込みが少ないという事実が明らかになりました。監督がこの結果を上手く利用してチームを立て直せるのであれば、モウリーニョ初年度の敵地クラシコ5-0や、スコラーリのユーロ2004初戦ポルトガル対ギリシャ1-2などと同じように、この試合にも意味があった事になります。

残念ながら我が国では、サッカー解説において戦術が脚光を浴びる事は今なお少ないように思います。戦術よりも選手の局所的な動きなどが過大に評価される傾向があるように感じます。サッカー中継を見ていて、「勝利の秘訣は選手個々の人間力」(Jリーグ、チャンピオンシップ)とか、「MSN(メッシ、スアレス、ネイマール)やバルサ相手に戦術とか対策とか無意味」(CLバルセロナ対ローマ)などと言われると、何だか哀しくなって来ます。

選手個々の動きやスキルが重要な事に異論はありませんが、一方でチームとしての戦術もまた重要な要素であり、それが結果に与える影響を目の当たりにできる試合を観戦した時などは、その楽しさは他に比較できないものがあります。安易な批判をしたいわけではなく、できれば解説の方々にはそうした楽しみを視聴者に紹介して欲しいという事と、そして試合に望む選手や監督以下チームスタッフの方々には、そうした楽しさを体験できる試合運びを見せて欲しいものだと思うのです。

今シーズン、バルセロナを試合内容で上回るのがどのクラブになるのか分かりませんが、やはりレアル・マドリードにはその役割を期待したいというのが正直なところです。次の対戦までにチームを建て直して、実力伯仲の勝負を見せて欲しいものだと希望を述べて、今日の所はこの辺で。


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ユベントス対バルセロナ

本日未明に行われた欧州チャンピオンズ・リーグ決勝:ユベントス対バルセロナの一戦について、簡単に感想を書き残しておきます。

なお、今調べてみたところ、昨年の決勝は何も書けないまま結果的にスルーしてしまったみたいで残念でした。去年の決勝戦はマドリード・ダービーだったわけですが、今シーズンも昨シーズンもこの両者は何度も対戦をしていて、そして去年の対戦は色々と見応えがあるものでした。つまり前の試合の内容を受けて両者が対策を練ってそれが更に次の試合に影響して……という繰り返しで、そうした両者の積み重ねが本当に興味深いものだったのですが。。そうした密度の濃いやり取りを端的にまとめきれず、情報量に翻弄されて遂に文章に書き残すのを諦める事になったのでした。今年のダービーは展開に目新しさや発展性がなくひたすら我慢比べの展開が続いただけに、去年の両チームのやり取りをまとめていれば、、、と少し後悔しております。昨シーズンの両チームの対戦を見られる環境にある方は、ぜひ時系列に堪能して下さいませ。と、長すぎる前置きはここまでにして、本題。


■試合の印象

何というか、ふわふわした印象の試合だったと思います。過去の試合を例に挙げると、07年のミランとリバプールの一戦に近いような感じで。ヨーロッパの頂点を掛けた戦いというこの一戦の重みの割には両チームともどこか隙を残した雰囲気で、それが改善されないまま90分が過ぎて終わってしまった……という感じの試合でした。


■バルセロナについて

今期2度目の対決となった3月のクラシコでも思ったのですが、今のバルセロナの中盤は他チームと比較してもそれほど図抜けた構成にはなっていません。むしろマドリーの中盤の方が豪華なくらいで、試合の内容としてもマドリーがボールを保持して相手を崩す意図が強かったのに対しバルセロナはカウンターの意識を強めるなど、一昔前の両者のサッカーが逆転したかのような光景がそこにはありました。更には組織よりも選手達個々の実力を重視したり、そしてその結果として自分たちが実力で上回っているという自意識から来る緩い態度も、かつてマドリーから何度も感じたものと同質だったと思います。

この試合でも、バルセロナは後方からのビルドアップに苦労します。更に攻守の切り替え時にも、数的有利な状況でボールを持つ相手選手を囲みながらもボールを奪えないなど、ペップ監督時代なら考えられないような場面がちらほらありました。失点数は少なくとも守備に問題を抱えているという点はペップ時代と同様ですが、それも詳しく見てみると明らかな違いがあります。ペップのサッカーは特に守備において相当に緻密で、数多くの約束事があり、避けるべきプレイを徹底していました。彼のチームの守備が時に脆さを感じるのは、点を取る為に攻めに掛かったが故のもの、つまり主体的にリスクを負う決断をしたが故の当然の帰結である事が多かったと思います。一方で今のチームは守備においても個人が目立ち、不用意に勝負に出て裏目に出る場面などが多く見られました。そして、かつてはプジョルやバルデス、今はマスチェラーノやピケやキーパー(リーグ戦はブラボ、カップ戦はシュテーゲン)が個人として踏ん張って失点の危機を回避している点は共通と言えるでしょう。

とはいえ、多くの人が勝因として語っているであろう前線の3人の存在が、このチームをライバルとは別格の位置に押し上げています。今のバルセロナを相手に、例えば前線から激しくプレスを掛けても、或いは中盤で激しいボールの奪い合いを挑んでも、それなりに勝算が立ちます。実際にこの試合のユベントスもそうした行動に出て概ね良好な結果を出せていたと思います。しかし。

チームとしての勝負所を相手のDF陣に、あるいは相手の中盤に置いた時、どうしても味方の守備陣は手薄になります。守備の選手達の実力がどれほど優れていても、チームが前のめりになって最終ラインにフォローに来る人の数が比較的に少なくなってしまうと、危ない場面を作られる可能性が高まります。ましてや、メッシ、スアレス、ネイマールという南米3トップが相手であれば、自分たちにミスがなくても規格外のゴールを決められて不思議ではありません。では引き籠もるべきなのか?しかしそれも、点を取ってリードした状況ならともかく、相手ゴールから自主的に遠ざかるだけでは勝ちに繋がりません。

結論として、今のバルセロナに挑むには、攻守においてかなり緻密に戦術を組み込まないと難しいと思います。一つの戦術に特化して挑む程度では彼らの攻撃力の前に敗れ去るのが必定です。現実に存在する彼らの隙を上手く突きつつ、自分たちの守備のほころびを少しでも減らすような方針で挑むべきで、彼らに対してフリーで打ち合いを挑むのは最も愚かな選択だと言えるでしょう。では、ユベントスの戦略は?


■ユベントスについて

キエッリーニの欠場は間違いなく大きな痛手だったと思います。それによって打つ手が少なくなったのは確かでしょう。彼のように、分の悪い勝負に挑んでも我慢を続ける事ができる選手がピッチに居れば、もう少し違った展開になっていたかもしれません。

この試合のユベントスは、相手のDF陣にまでプレスを掛ける守備を行う場面と、撤退してピッチ1/3で守る場面とを使い分ける意図がハッキリしていました。そしてボールを奪った際には、ポグバらがボールをしっかりキープして攻めに繋げるシーンが多々ありました。しかし、守備の際にあやふやなまま改善されなかった点もありました。

システム的には、4-3-1-2か4-4-2で守備を構築していたユベントス。更にはモラタやテベスを中盤に組み込んでほぼ4-6-0とでも表現できる形もありましたが、それらの使い分けが明確でなかったのが残念でした。メッシに対しては中盤の近い選手が常に当たりに行く方針で彼の単独突破はある程度防いでいましたが、その結果としてネイマールの居る逆サイドが手薄になりがちで、先制点の場面など多くのピンチを招く事になりました。また、相手のセンターバックは勿論ブスケツに自由を与える事が多かったのも手落ちと言って良いでしょう。2人のFWかビダルがブスケツを見るという約束事が結果的に各々の役割を曖昧にして、成果を出せていなかったのだと思います。

攻撃面では、サイドを抉ってからのマイナスのボールを、中央で撤退する相手守備陣の虚をついて止まった選手が合わせるシーンが印象に残っています。この試合のピルロはそれほど良い出来とは言えませんでしたが、しかし彼の存在故に、彼がDF陣の裏に出すボールのイメージがある故に相手DF陣の前にスペースができやすく、そこを突けていたのは良かったと思います。テベスの決定力が発揮されていれば試合はどうなったか分かりませんが、しかしそれは彼自身に原因があったと言うよりは、彼の役割を規定しきれず、時に中盤を助け時に前線に残るなど相手の状況に合わせてテベスを動かさざるを得なかった点が大きいかなと思います。

後半に同点に追いついて、チームには逆転の雰囲気が漂っていました。そうした勢いはとても大事なもので、下手に遮ると碌な事にならないのもまた事実です。しかし、今のバルセロナの攻撃陣を相手に、どちらが先に決勝点を挙げるかという勝負を挑んだ事は、ユベントスにとってこの試合の最大の敗因になったのではないかと思います。結果論と言えばそれまでですが、展開はどうであれ「勝ちに行くよりも、まずはとにかく120分粘れるように」という強い意志を選手達が共有して試合に臨んでいれば、更に見応えのある一戦になったのではないかと思ったのでした。


■結論として

戦術や采配という点ではそれほど楽しめる試合ではありませんでしたが、選手個々のプレイを見るという観点からは面白い試合だったと思います。両チームとも、来シーズンのチャンピオンズ・リーグでも結果を残せるだけの安定性には少し疑問を覚えるので、今のチームから来シーズンどう変わっていくのか、そうした変化を楽しみにしながら筆を置きたいと思います。

では、本日はこれにて。

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今大会の日本代表について。

残念ながらサッカー日本代表はグループリーグで敗退してしまいましたが、今回の戦いぶりについて素人目線から簡単に書き残しておきます。


■監督、選手、協会、そしてマスコミの責任について。

コートジボワール戦が始まる前にコロンビアがギリシャを3点差で破った事で、事実上の二位決定戦になると思われた第一戦。そこで敗れた事で全てが難しくなったのは確かですが、その後の報道には違和感を覚えるものが多かったので、まずはその話から。

端的に言うと、現場の問題点を指摘せず精神論を原因とするお馴染みの記事が多く、監督への掌返しが露骨な割に選手への批判は少なめ協会に対してはほぼ皆無というバランスの悪さが目立ち、有益な対案を出す事もなく「とにかく応援しましょう」的な思考停止の結論で終わるものが多数あったのが残念でした。
スポーツ報道が完全にテンプレ化している傾向はサッカーに限らない問題だと思うのですが、開幕前にマスコミが喧伝していた「ベスト8以上」という結果を求めるのであれば、報道にもそれ相応の内容が無いと無理ではないかなと思います。

次に協会についてですが、例えばキャンプ地と試合会場の距離や温帯から亜熱帯への移動といった問題点は開幕前から指摘されていた事で、それが代表選手達のコンディションにどこまで影響したのか、しっかり分析して欲しいところです。
更に第二戦後の「パワープレイ禁止を指示」といった報道が正しいのであれば、普通に考えると監督への口出しが過ぎると思いますし、仮に監督権限の一部を協会側が保持する契約だったとしても、その場合は今回の結果から監督が引き受けるべき責任の一端を協会が担うべきと考えられるので、きちんと総括して欲しいなと思います。


そして選手についてですが、大きな問題点として二点を挙げたいと思います。

一点目は、個人ではなく集団による連携で攻めるのが我が国の代表らしいプレイだと思うのですが、それが本番でなお不十分だった事。具体的には、ゴール前のスペースを大久保と大迫、本田と香川などが同時に使おうとしてかち合う場面だったり。ゴール前でニアとファーに別れるべきが、大迫と岡崎が同じサイドに飛び込んでいたり。香川にしろ大久保にしろサイドハーフが相手守備陣前の中央に入って来がちで、攻撃が手詰まりになった時に逆サイドの高い位置に選手が居ない為にサイドチェンジができず、結果として安易なパスを奪われカウンターを喰らう羽目になったり。ついでに守備の時にも、ゾーンから一人が釣り出された時のカバーが時々あやふやだったり。とにかく個々の選手が勝手な判断で動いているように見える事が多く、チームとしてのまとまりに欠けた印象だったのが残念でした。

二点目は、個人のプレイにおいて酷いミスが直らなかった事。一点目で少し触れた安易なパスを奪われる事もそれに含めて良いと思いますが、たとえ相手を押し込んでいても味方が前掛かりになった状況では、つまりボールを奪われる事をあまり想定していない状況で奪われてしまう事は、失点の大きなリスクになります。ましてや自陣での無理なプレイや相手へのプレゼント・パスなどは致命的で、確かにコロンビア戦は4失点の大敗でしたが、もっと点を奪われていても不思議ではなかったのが辛いところです。これらの悪癖がイタリア人監督の下でも改善できなかったのが残念でした。


最後に監督について。監督の仕事の範囲をきちんと認識した上で批評すべきと思うのですが、例えば今触れた「選手個々の守備の悪癖の改善」は代表監督の仕事と言えるのか?そもそも育成の責任ではないのか、と考える方が個人的にはしっくり来るので、これについては選手の責任と考えた方が良いと思っています。では、監督の責任とは?

ザック監督就任の時点で、彼の選手に妥協しやすい傾向は欧州サッカーに詳しい人たちの間では危惧する声がちらほらありました。選手の意見を取り入れた上で監督の色を出しチームとして仕上げてくれれば理想なのですが、現実には選手が強くなりすぎて把握しきれなくなる危険性も多々あり、残念ながら今回もそうなってしまったかなと思います。

協会について書いている時にパワープレイの話を出しましたが、巷では「それをするなら豊田やハーフナーを選べよ」と監督を非難する声がありました。しかし、過去の日本代表の親善試合を見ていた人なら同意して頂けると思うのですが、ハーフナーを投入しても彼にハイボールを蹴り込む事なく、彼を無視してパスで相手を崩す事に専念する代表の姿しか記憶に残っていません。ここで問題なのは、監督がパワープレイ向きの選手交代をして選手があからさまに無視した場合、その責を負うべきは監督か、それとも選手なのか?

ザック監督の責任を一点に凝縮するなら、まさにこの問題を明確にしなかった点にあるように思えます。つまり、それを自身の責任として引き受け選手に方針を徹底させるか、あるいは選手が求めるなら選手の責任、協会が求めるなら協会の責任だと彼らを尊重し明言した上で、自身の責任の範囲にある仕事に専念していれば、たとえ結果は変わらなかったとしても、チームとしての印象は違っていたのではないかなと思うのでした。


■試合における戦術の話

長くなったので具体的な采配については省略します。その上で一つだけ指摘しておきたいのは、結局最後まで、戦術的な幅が足りなかった事です。

開幕前に不安だったのは、攻撃的なチームを目指すという方針だけが金科玉条となって、リードを奪った状態で残り数分というケースで試合を終わらせる術に乏しいのではないか?という疑問でした。例えば細貝を入れて4-1-4で守る形などが考えられるわけですが、選手選考の時点でそれを自ら放棄して背水の陣を布いたように思えたのでした。

結果的には三試合とも残り数分の時点で、我らが代表は点を取らねばならない事態に追い込まれていました。そして攻撃を重視したはずのチームは、三試合で二点しか取れませんでした。

点を取る為の戦術は、大きく二つに分けられます。つまり自らボールを保持して主導権を握った上で相手の守備を崩す形と、相手のボールを奪ってカウンターで仕留める形です。今大会の日本代表は、前者を試み成功しませんでした。そして後者は、残念ながら試される事すらありませんでした。

最近の欧州クラブのサッカーを見ていると、これら多くの事を一定レベルで実行できないクラブは苦しいシーズンを送る事になります。最低限のポゼッションができる事、自陣で強固な守備網を構築できる事、時には前線から激しくプレスを掛けて相手を混乱させられるだけの連動性と運動量を備えている事、そして相手陣内からのショート・カウンターと自陣からのロング・カウンターをこなせる選手が居る事。

ワールドカップは既に試合の内容という点では、トップクラブ同士の試合より劣っています。しかしヨーロッパにおける最新の戦術的傾向などには敏感で、ほぼ連動していると考えて良いと思います。今回は堅守速攻型のチームが活きる展開になっていますが、先に挙げた複数の事ができないチームは、今後は厳しい事態に追い込まれると考えられます。日本代表の次の監督が誰になるのかは判りませんが、そうした流れをしっかりチームに反映してくれる監督にお願いしたいですね。


■そして精神論へ

精神論が個人的に好きでないのは、改善すべき点をすっ飛ばして精神論で話をまとめようとするからで、問題点を明らかにした上で最終的に精神論に至るのであれば異論はありません。

8年前のドイツの時にも思った事ですが、かつての日本代表の選手達、特にJリーグが始まって数年までの選手達は、自身の実力の至らなさを誰よりもまず自分自身が知っていました。おそらくそれ故に、彼らはワールドカップ初出場という夢を実現する為に、自分のできる事をやった上で足りない部分を頑張りで補おうと試みました。その姿勢が見ている人の心を打ち、サッカーを習慣的に見る事が少なかった層にも強い印象を与えたのではないかと思います。

一方で現在の代表は(8年前の代表も)、自身の能力を把握し切れていないように思えます。それが優勝といった過大な目標を掲げる事に繋がり、実際に優勝を狙える国との彼我の差を正確に認識する事を妨げ、そして第一戦で負けた後でさえ「突破の可能性がある限り前を向いて」云々と自己暗示のような事を言い続ける羽目になったのではないかと思ってしまうのです。

足りない部分を補う為に精神論で頑張るか、精神論が過分な目標に繋がって自分たちの実力との差を自ら広げてしまい墓穴を掘るか。精神の持ちよう如何で同じ実力でも結果が違ってくるわけですが、そして自分自身も後者のような事をしでかしがちなので偉そうな事は全く言えないのですが、願わくば前者のように地に足の着いた姿勢で大会に挑む代表の姿を見たいものですね。


■おしまい

という事で、今日はこれにて。

テーマ : FIFAワールドカップ - ジャンル : スポーツ

コートジボワール戦について。

負けた試合を振り返るのは嫌なものですが、四年に一度しか観戦できないお祭りを楽しむ為にも、次の試合に向けて注目すべき点を幾つか簡単に書き残しておきます。


■一番の問題点

攻撃的なサッカーという目標を掲げて臨んだ本番で、攻撃が機能しなかった事。それによって目を瞑り続けていた守備の問題をカバーし切れず、逆転負けに繋がった事でしょうか。


■攻撃について

内田は良い内容で長友も決して悪くはなかった一方で、特に逆転された後に本田・香川・遠藤で攻撃を組み立てられなかったのが辛かったと思いました。

厳しい事を言うと、本田と香川はパスのセンスが秀でているわけではなく、それぞれフィジカルを活かしたボールキープから味方をシンプルに使う形、スペースをいち早く見付けてそこにタイミングよく走り込む形が第一の長所だと思うのですが、両者とも妙にリスクの高い行動に出て失敗する形が多かったのが残念でした。

また、先制点が早すぎて前のめりになってしまった結果とはいえ、後半の勝負所でボールの持ち手も受け手も足が止まっていたのを見るのは、つまり組織ではなく個人で攻撃する形に陥ってしまった代表選手たちを見るのは辛い事でした。

遠藤についてはベテラン故に、周囲の動きが変わればプレイも改善されると期待できますが、本田と香川は難しい事に挑むのではなく、各々の長所を活かした攻撃の形を組み立てて欲しいなと思います。そして現代表で飛び抜けて得点力が高く、クラブでも最高の結果を残した岡崎に点を取らせる形を第一に優先して欲しいなと。


■守備について

攻撃と違って守備は方法論が確立していて短期間での改善も可能なので、次の試合ではまず守備の安定を見せて欲しいと思います。大きな課題は二つで、サイドの守備の問題と、セカンドボールへの対応です。

まず、左サイドの守備が試合を通して崩壊していたのを何とかしない事には始まりません。この試合の中で試した本田トップで香川トップ下が機能しなかった以上、4-4で堅固な守備を構築するには、香川に守備でも走り回ってもらうか、大久保を先発で起用して香川をスーパーサブとして使う手が考えられます。本田を外す手も無くはないですが、セットプレイを考えると遠藤と本田の両者を外す選択は難しく、遠藤が先発ではやはり守備の強度が落ちるだけに難しいかなと。長友を一列上げて酒井を使う手も方法論としては魅力的ですが、実際に機能するかは未知数なのが辛いところ。

また、この試合ではセカンドボールを相手に拾われる率が高く、それが体力の消耗に繋がったと思います。これへの対策は言うは易くなので現実にどれだけできるか分かりませんが、とにかく負けても良いからボールを競りに行く事と、ボールのこぼれる先を予測して走る事でしょうね。

これを一言でまとめると、オシム元監督の口癖であった「考えて走れ!」になるわけですが、サイドの守備でもシステムに人を当て嵌めてそれを単純に入れ替えるだけでは機能しないわけで。選手を配して守備の形を整えて、そして彼らが相手にフリーでボールを上げさせないよう動いて初めて守備の構築が完成するという当たり前の事を、選手たちには行動で示して欲しいと思います。


■まとめ

グループリーグ突破の可能性は、無くはないものの極めて低いのが現実です。少なくとも次のギリシア戦では勝たなくてはなりません。そして勝つためには点を取らなければなりません。しかし。

サッカーにおいて攻守はかなり流動的なもので、一方のみに偏重しても必ず破綻します。人数をかけて引き蘢る戦術を選択するならば、同時にカウンターの牙を磨く事を忘れてはならず。ボールを保持して攻撃の主導権を握る戦術であれば、同時に相手のカウンターの芽をいかにして摘むかを考えておかなければなりません。

今回の大会は逆転負けの展開がとても多く、点を取るだけでは勝ち切れない現実が如実に示されています。同時に、ボールを保持して試合の主導権を握る、いわゆるバルセロナ式のサッカーがクラブレベルで既に研究し尽くされていて、この大会でもボールを相手に持たせる方が有利になりやすい傾向が見て取れます。しかし。

我らが代表が堅守速攻ではなくボールを保持して試合の主導権を握る方針を表明してそれに沿った選手選考をした以上は、攻撃的なサッカーを最後まで追求して欲しいと思います。ただしそれは守備の努力を放棄する事とは同義ではなく、守備面においての対策を整えた上で、満を持して攻勢に出る選手たちの姿を見せて欲しいなと思うのでした。


以上、今日はこれにて。

バルセロナ対レアル・マドリード

最近の何年かは直接対決が多すぎて、どうにも食傷気味だったこの対戦。エジル移籍のショックもあり、正直に言うと内心ではあまり盛り上がっていなかったのですが、せっかくだしと見てみたらサッカー以外のところでのギスギスした感じも無く、内容として面白い部分も多かったので、感想を書き残しておきます。


■両チームのスタメン

まずはレアル・マドリードから。バルセロナ対策として中盤を3センターするのは珍しくないですが、アンカーにセルヒオ・ラモスを起用した事には各方面から驚きの声が上がっていました。前線の3トップは状況に応じて入れ替えがあり、ベイルが左右のサイドに出たりロナウドがトップに来た場面もありましたが、基本はベイルがトップの4-3-3と考えて良いと思います。

25.ディエゴ・ロペス
15.カルバハル、2.ヴァラン、3.ぺぺ、12.マルセロ
4.セルヒオ・ラモス
6.ケディラ、19.モドリッチ
22.ディ・マリア、11.ベイル、7.ロナウド

11.ネイマール、4.セスク、10.メッシ
8.イニエスタ、6.シャビ
16.ブスケツ
21.アドリアーノ、3.ピケ、14.マスチェラーノ、22.アウベス
1.バルデス

対するホームのバルセロナ。メッシを右サイドに置いてセスクの0トップという布陣なのですが、メッシとセスクの動きの質が違うので、むしろ2トップがワイドに開いた4-1-3-2と表現した方が適切かもしれません。密かにロナウド側にマスチェラーノが配されています。


■レアル・マドリードの守備

注目のセルヒオ・ラモスですが、彼を起用する目的を幾つか考えてみます。まず思い付くのは最終ラインの前で相手選手を潰す事で、これは一番大事な役目だったと思いますが、とはいえぺぺ起用でも問題はないはずです。次に、中盤で高さと強さのある彼を起用して浮き球をマイ・ボールにする事。前線からプレスをかけて相手キーパーに長いボールを蹴らせてボールを奪う意図があったのなら、競り合いはぺぺにもできますが技術で劣る彼ではボールが足に付かない事も多いので、ラモス起用の意味が出て来ます。しかし、それほど前線からの守備が活発だったようには見えず。。

最後に、ボールを持った状態で左右のサイドにパスを散らす役割。これはもちろん怪我で離脱中のシャビ・アロンソが最も得意とするプレイですが、ボールを収めてパスを出すという二つの動きのいずれもぺぺでは不安があるだけに、これらを期待できるラモスが消去法的に起用されたのではないかと。しかし現実には、ラモスに試合を組み立てる能力が足りなかったので(能力というか、ぶっつけ本番では経験が足りていなかったと言った方が正確かも)、攻撃面で彼が目立つ事はありませんでした。

そして肝心の守備面ですが、メッシが中央に来る事を想定していたのに見事に外され、セスクは守備時には中盤に下がっているのでマッチアップの相手がおらず、相手選手が近くまで来るのを待つ必要があるという無駄な状況に陥っていました。対個人という面では期待に応える働きがいくつかあったものの、中盤の守備では特に他選手のフォローの動きが上手くこなせておらず、組織として守備を考えると相手の方が一枚上手だったかなと思います。

またチーム全体としても、ボールの奪いどころがはっきりしないまま受け身に回る前半でした。これは近年発達したバルセロナ対策を振り返る必要があるのですが、メッシの0トップに対して3センターでの守り方が企画され、昨シーズンは4-4-1での対応も披露されました。いずれの場合もブスケツと特にメッシのところでボールを奪うのが基本なのですが、この試合でのメッシは囮の役割が多く、見事に狙いを外された形になりました。


■マドリーの3トップ

いずれもカウンターに長けた三人ですが、スピードに乗った攻撃はほとんど出来ませんでした。更にネイマールの得点でバルセロナが先制した後は少し引き気味になった為にボールを持たされる展開が多くなり、そうした長所よりも連携が未熟な点が顕わになっていました。彼らに効果的なパスを出せるのがモドリッチのみで、彼も右サイドのメッシに相対するマルセロのフォローがある為に攻撃だけには専念できない状態なので、色々と難しかったかなと思います。

また、守備時には両翼が中盤に下がり4-1-4で守れたらベストなのは自明ですが、ディ・マリア以外の二人は戻りに熱心では無く、中盤で数的不利に陥りやすい傾向にありました。これには敵味方の二つの理由が絡んでいるのですが、バルセロナの両サイドバックが以前ほどは攻撃参加を自重していたので、戻る必要がないように見えた事がまず一点。

そして、レアルのこの日のシステムとして、攻撃時に両翼が中央に入って行き、サイドは両サイドバックやセンターの二人が担うよう狙っていた事が影響したと思います。これはアンチェロッティ監督らしいサイドの使い方で、これを洗練させると所謂クリスマス・ツリー型のフォーメーションになるのですが、相手ゴールに三角形の頂点を突き刺す図を思い浮かべると明瞭になるように、相手チームは中央よりもサイドでボールを落ち着けやすい形です。

実際、ボールを奪われた後でバルセロナがサイドから組み立てを始める形が多く(レアルが右サイドから攻め込んで奪われ、同サイドのイニエスタのドリブルや、逆サイドのアウベスに渡してボールを前に運ぶ形など)、1トップにブスケツをマークさせ中央の選手がセンターバックのパス・コースを消してサイドに追い込むというバルサ対策の定番が、この試合ではさほど重要にはなりませんでした。バルセロナが最終ラインから短いパスでボールを繋ぐ事に執着せず、ロングボールをネイマールに届けたり、ゴールキックが敵陣内で相手ボールになっても問題なしと割り切っていた事も、この傾向に拍車をかけていました。

3トップからすれば、自分たちの守備面での役割は果たしたので前線でカウンターに備えるぞと言いたいところですが、誰も戻らないと中盤で数的不利になりますし、かといって守備の狙いが外された状態で帰るよりは相手への脅威として前線に残っていた方が良いようにも思えますし、攻撃から見ても守備から見ても上手くいかない前半でした。


■バルセロナの前半

既に書いた以外では、ネイマールの登場によってセスクの役割が一つ減っているのが興味深かったです。つまり、昨シーズンのセスクの0トップだと彼が相手守備陣の裏への抜け出しまでを担当する必要があったのが、ネイマールが裏抜けの動きを繰り返し、かつ左サイドに張っている事でサイドバックとケディラやディ・マリアを引きつけてくれるので、中盤での組み立てにもその後の崩しにも参加しやすい環境になっています。

その代わりに、グアルディオラ監督時代と違って前線からの守備が強度を失っているので相手ボールになると守備の形を整える必要があり、特に右サイドのメッシが守備に積極的ではないので彼の穴をセスク、シャビ、イニエスタの三枚で埋める必要がありますが、前述のようにレアルの3トップは中央への意識が強くサイドに張り出す動きが少なかったので、前半はおおむね上手く守れていました。

厳しい目で見ると、彼ら三人(もしくはネイマールを加えた四人)のラインは対人という点で守備が緩かったのですが、抜かれた後に反転して守備陣と相手をサンドイッチにする場面が多く、これがどこまで意図した動きだったのかは気になるところです。おそらく偶然だと思いますが(苦笑)。

しかし、前半も終了間際になって、ロナウドがサイドを突破しケディラが入ってくる場面がありました。ハンドではないかと審判に食い下がるケディラから、何年か前のCL準決勝でのバラックを連想しましたが、このプレイが後半の改善に繋がる事になります。


■後半のマドリーと、それに対するバルサ

変更点として、3トップのうち二人にサイドで張らせるようになりました。ピッチを広く使える事、バルセロナにサイドで組み立てをさせない事、ボールを奪われた時に守備の役割が明確になる事などで、レアルは徐々にペースを取り戻していきます。

最初の交代は後半10分頃。ラモスに代えて本職のイジャラメンディを入れ、守備の連携を改善する事でバルセロナが前線にボールを運ぶのを妨害して、チームの攻撃時間を増やす事にある程度成功します。更に5分後にはベイルに代えてベンゼマを入れ、ほぼ通常に近いやりやすい形に戻したマドリード。最初からこの形で挑めよという声も聞こえてきそうですが(笑)、試合中にきちんと訂正できるのは好感が持てますね。

この時間帯に顕著だったのはバルセロナの守備の乱れでした。つまり、レアルがロングボールを左サイドに通す形が増えて中盤の三人によるメッシの穴塞ぎが間に合わなくなり、ロナウドに加えてモドリッチや、交代したラモスから引き継いだキャプテン・マルセロまでをアウベス一人で相手する苦しい形に陥っていました。

バルセロナは後半25分にセスクを下げてサンチェスを投入。メッシを中央に移して守備の強化を図ります。結果的にはこのサンチェスが決勝点を決める事になりますが、こうした守備目的の交代が点に繋がるケースは時々あり、何とも面白いものですね。

後半30分頃にレアルは最後のカード、ヘセをディ・マリアの代わりに入れました。左右の精度の違いからクロスを上げるのに左足に持ち替える事が多く中央に入って来やすい後者に代えて、よりサイドでの縦の動きを重視した交代のように見えましたが、じっくりプレイを見た事がほとんどない選手なので断定は出来ません。。しかし、ディ・マリアと入れ替わって右サイド深くに進入するケディラの姿をよく見た気がしますが、エジルが居たらなぁ…と思ってしまった人は少なくないのではないかと。。

さて、直後にバルセロナはイニエスタを下げてソングを投入。はっきりと4-2-3-1にする事で、中盤底のブスケツとソングが前後にフォローに行きやすい形に移行します。すぐ後には追加点も生まれ、余裕を持って試合を終わらせにかかるバルセロナ。残り5分の段階でネイマールを下げてペドロを入れ、サイドの守備固めと運動量での貢献を期待する教科書通りの采配。ロスタイムに入ってから、何人かの軽いプレイが重なってカウンターで失点を許すものの、特に問題なく試合を終える事が出来ました。


■まとめ

レアルはまだチームの方向性が定まっていない印象で、監督の手腕に期待という感じでしょうか。昨シーズンのCLでパリを率いてバルセロナを追い詰めたように、理に適った采配で結果を出す事に長けた監督なので(逆に理論通りにあっさり負ける事もあるので批判する人も絶えないと思いますが)、カウンターとポゼッションを上手く融合させたチームを作ってくれるよう期待しております。

バルサも建設途上という印象で、守備を強化する一連の采配も強度という点ではまだまだ不安がありますが、色々と実験をしながらもリーグで勝ちを重ねているのが凄いところ。メッシ0トップ対策への対策、引いた守備、前線からの守備の復活など、それらを一定以上の完成度で兼ね備えると、派手さは数年前に劣るものの凄いチームが生まれそうですが、こちらも楽しみにしております。


以上、今日はこれにて。

テーマ : サッカー - ジャンル : スポーツ

ドルトムント対バイエルン

我ながら何年もよく書いているものだと思いますが、毎年好例のUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝:今年はドルトムント対バイエルンの一戦について、眠い目を擦りながらテレビで観戦した雑感を以下に書き残しておきます。


■総評

ドイツ勢同士という以上にチームの戦術が似た者同士の決戦になりましたが、自力で勝るバイエルンが押し切った一戦だったな、という印象です。ドルトムントは後半に劣勢になった時間帯に、それを改善できる交替策を有していなかったのが残念だったなと思いました。たとえ60分でもゲッツェが使えたなら、ロイスを左に出す形や、ベンダーをアンカーにしてロイスとゲッツェを左右に配する4-1-4-1にもできたのに…と。という事で、まずはドルトムントの守備から振り返ってみます。


■ドルトムントの守備

試合前には4-2-3-1と紹介されていましたが、この日のドルトムントは攻撃時も守備時も、実質的には4-4-2でした。そしてバイエルンにボールを持たせる形でゲームに入ります。ロイスがトップ下ではなくレヴァンドフスキと横並びの位置に居て、守備時にはそれぞれ対面のセンターバックに圧力をかけ、ボールをサイドに追いやりそこで人数をかけて奪う意図が明確で、実際にも上手く機能していました。

そこからボールを自陣まで運ばれた場合は4-4で守り、ボールを奪い返すと短いパスを繋いで速攻、あるいは高い位置に残っていたロイスやレヴァンドフスキにロングボールを蹴る場面も多く見られました。レヴァンドフスキはともかく、ロイスがボールを競り合っても?と疑問に思うところですが、サイドのスペースに蹴ってロイスや両サイドハーフが足下に収められる展開を期待していたのだと思います。それも上手く機能していました。

このようにドルトムントが二人を前線に残しそこに中盤の面々が飛び出して来る攻撃が機能しているため、センターハーフは勿論バイエルンが誇る両サイドのロッベンとリベリも守備に重点を置かざるを得ず、その結果としてドルトムントは4-4でも充分に守り切れるという好循環で、4-4-2を奇麗に機能させて試合序盤の主導権を握る事に成功したドルトムントでした。


■バイエルンの対策と守備

ボール運びが上手く行かないバイエルンは、シュバインシュタイガーが低い位置に下がって組み立てを手伝います。センターバック2人がサイドに開いてその間に彼が下りる形を試みると、ドルトムントFW陣は縦へのパスコースを潰しつつも、彼に必要以上に近寄る事はありませんでした。それよりもサイドにボールを誘導して以下同上の形を狙っていたのだと思います。シュバインシュタイガーがサイドバックの位置に下りた時には、中央へのパスコースを切りつつ彼かその前のサイドバックでボールを奪うべく襲いかかっていました。ちなみに、バイエルンがキーパーまでボールを戻した場合は完全に放置していました。

こうした手詰まりの状況に陥ったバイエルンからすれば、一発勝負の決勝でもあり安全面からしても、マンジュキッチにロングボールを当てる形が悪くはない選択に思えます。そこから攻められれば良し、たとえボールをキープできなくとも、相手にボールを持たせる展開でドルトムントと同じ事をやり返せば良いではないかと。しかし、守備が機能しているドルトムントは前線から最終ラインまでの距離がコンパクトで、競り合いのこぼれ球の多くを回収できていました。そして前述の三つの選択:短いパスか、ロングボールをレヴァンドフスキに競らせるか、スペースでロイスに受けさせるか、それらを使い分けながらバイエルンのプレスを回避するので、悪い流れを断ち切れないバイエルンでした。

なお、ドルトムントと違ってバイエルンはマンジュキッチが相手キーパーにまで圧力をかけに行っていました。これはドルトムントが短いパスを繋いでリズムに乗る展開を嫌った故だと思うのですが、ロングボールなら自分たちのセンターバックが勝つだろうと見越して誘いをかけていたのだと思います。実際にこの試合ではレヴァンドフスキがロングボールをキープできる展開はあまりなく、狙いとしては間違っていなかったと思います。ただロイスを2トップの一角としてスペースでボールを受けさせる形をあまり想定しておらず、その第三の選択肢に対処できなかったのが前半の苦戦の原因に思えました。


■後半のバイエルン

後半に入ると、バイエルンが幾つか対策を出して来ました。まずは一手目として、ロングボールの的であるマンジュキッチをサイドに流れさせます。サイドバックで180以上とは我が代表を思うと羨ましい限りですが(苦笑)、190越えのセンターバックを相手にするよりはマシだろうという事で、前半よりボールが収まりやすくなったバイエルン。

この変化がドルトムントに与える影響は、1つはサイドバックが上がりにくくなる事。2つ目にその結果としてサイドバックとサイドハーフの距離が開き、スペースが生じやすい事。3つ目にサイドをカバーするためにセンターバックが釣り出される事。その結果として4つ目に中央が手薄になりやすい事。これらの傾向は、後半の開始時点ではまだ些細なものでしたが、最終的には失点に繋がる程の影響力を持つに至ったのでした。しかしその前に、バイエルンの二手目を見てみましょう。

バイエルンの二手目は守備面での変化ですが、特に相手のロングボールに対してセンターバックの二人が積極的に競りに出ていたのが大きかったかなと思いました。ダンテもボアテングも、後半はサイドまでハイボールを競りに行く場面が増えていたように思います。レヴァンドフスキだけでなくロイスへのロングボールにも競りに向かう事で彼を試合から消し、ドルトムントのボール運びを徐々に封じ込めて行くバイエルン。

そして、一手目の結果生じたサイドのスペースの恩恵を受けるのは誰あろうロッベンとリベリなのでありまして、二手目の結果として守備が改善して徐々に高い位置でプレイできるようになった彼らは試合に影響力を及ぼし始めます。そんなバイエルンの三手目は、ドルトムント守備陣の裏への動き。サイドバックの裏はもちろん、手薄になった中央を崩す形も出始めて、ドルトムントは苦しい形になります。

後半の途中からは完全に自陣に押し込まれ、開き直ってロイスを中盤に組み込む手は思い付くもののボールを奪った後のキープの手段が失われている状態では前線にロイスが居て欲しいという悪循環で、改善策が見出せないドルトムント。相手の攻撃に耐えながら個人技の炸裂を待つしかないという状況だったと思います。しかし、ロスタイム間際に中央から崩されて失点してしまい、彼らの挑戦は終わりを迎えました。


■まとめ

両チームともに攻守の切り替えに優れ、チームとして前線から圧力をかけてのカウンターもできればボールを保持して攻めを構築する事もでき、選手個々はテクニックにも体格にも優れ、そうしたバランスの良いチーム構成になっているのが印象的でした。他のビッグクラブと比べると、バルセロナは以前よりテクニックに偏りフィジカルで劣り、マドリーは個人に偏重し過ぎていて、イングランド勢は技術で及ばず、この辺りのバランスを考えると面白いものだなぁと思います。ただ、バランスはとかく崩れ易いものなので、これをもってドイツ勢の優勢が続くとは言い切れないのがまた面白いところです。

バランスと言えば文中には書きませんでしたが、ドルトムントがセットプレイの守備を整備し切れていなかったのも興味深いところで、それとボールを必要以上に奪いに行ってしまう傾向とは、チームとしてのボール奪取戦術が上手く行っているが故に出るものなのかなぁ…などと考えていました。奪うよりもコースを切るなどして防ぐ事が優先されるような場面で、つい奪いに行ってしまう事の難しさというか。。バランスよく何でも出来るチームに仕上げるのは難しいものですし、特にチームとしての強みが時に敗因へと繋がる事を目の当たりにすると、色んな事を考えさせられますね。


以上、長々と書きましたが今日はこれにて。

テーマ : UEFAチャンピオンズリーグ - ジャンル : スポーツ

バイエルン対チェルシー

毎年書いているので今年ぐらいはサボっていも良いかなと思いつつ、簡単にUEFAチャンピオンズリーグ決勝:バイエルン対チェルシーの一戦について感想を書き残しておきます。


試合が始まる時点では、国内リーグで優勝争いに参加しているチームに勝って欲しいという理由からややバイエルン贔屓に見ようと思っておりました。で、延長~PKと長々と続いた試合を見終えて思ったのは、よりマシな試合をしたのがチェルシーだったかなと。逆に言うと、仮に延長前半のPKが決まっていたとしても、そのまま勝ちきれる可能性はどの程度あったのかな?と思ってしまうようなバイエルンの内容でした。


■チェルシーの守備

準決勝に比べると、チェルシーの守備に付け入る隙があったのは確かです。ここでまず、準決勝の第一試合は見ていないので第二試合について簡単に復習すると。前半にテリーが愉快な膝蹴りにより赤紙を獲得して10人になったチェルシーですが、その後は時間の経過とともにシステムを4-4-1→ドログバが中盤に吸収されて4-5-0→ボールと逆側のサイドハーフがサイドバックの位置に下がる変則的な5-4-0→両サイドハーフがサイドバックの位置に下がりゴールエリアにディフェンス4枚を並べる6-3-0、という変遷を遂げました。この辺りの時間的・状況的な共通理解が見事だった印象があります。ちなみに最終盤、6-3で守り切るのがセオリーのところを一人暴走して、しかし結果的に相手の穴を見事に突いてバルセロナに引導を渡したのがトーレスさんでした。

さて、その試合と今回の決勝戦を比べると、基本的には4-2-3-1で守っていたチェルシー。ランパードが場面に応じて細かくポジションを変えることで4-1-4-1気味になる事もありましたが、特にバイエルンの右サイドを警戒して、ロッベンにはなるべくダブルチームで、ラームや流れて来たミュラーによってアシュリー・コールがサイドに引き出された時は一列前のベルトランドがセンターバックとの間に入る、など約束事が徹底していて、この辺りはさすがのお仕事ぶりでした。

ただし、その分だけ手薄になった感のあるバイエルンの左サイドの問題と(結果的に先制点もこちら側から)、中央をただ固めておけば大丈夫という前提からかボールを持つ相手に対して後手に回りがちな傾向が気になりました。危険なエリアでリベリーに簡単に前を向かれたり(結果的にはPK献上も)、クロースやシュバインシュタイガーの上がり、ラームの中央への切れ込みなどには手を焼いていたように思います。もう少しゴメスに動きがあったら面白かったのになぁ、と。

それから、守備的な戦術という点でモウリーニョ時代に言及する方がおられましたが、一番の違いはボールを奪って攻撃に転じた時の対応ではないかと思いました。速攻よりも丁寧にボールを繋いで攻撃を組み立てる方針は、今シーズン初めのヴィラス・ボアス監督時代の経験を活かした攻撃スタイルを採用したというよりは、運動量を押さえ体力の回復を図る為のポゼッションという意味の方が大きかったように思います。困った時には前方に蹴り出してドログバ頼みにする事も含め、いずれもモウリーニョも採用していたパターンではあるのですが、優先順位という点ではよりイタリアらしい発想に思えました。その結果、ロースコアの試合を余儀なくされ、結果いかんでは勝つよりも引き延ばすことを優先したサッカーだと批判されかねない内容になっていたわけで。ただ、こうした特徴を持つチームが健在である事は多様性という点で望ましいと思うだけに、来シーズンは状況に応じて違う顔を見せられるようなチームになっていて欲しいものです。

経過としては、75分にベルトランドに替えてマルダを投入し主に4-4-1-1気味の布陣に。先制点を決められた直後の85分にはカルーに替えてトーレスを入れ、ランパードになるべく高い位置をとらせる4-1-4-1気味の布陣から、トーレスの動きによって生じたスペースをマタ、ランパード、ボジングワなどが利用する攻撃重視の方針へ。同点ゴール後は4-2-3-1基本に戻しつつ、動きの激しいトーレスさんで相手をかく乱しながらドログバにもきっちり守備をさせ、最悪同点のままでも良しとする展開へ。これら方針の移り変わりの中で、それをピッチ上で指示するランパードの動きが興味深い試合でした。


■バイエルンの攻撃

基本はロッベン&リベリーの両翼に実力を発揮させゴメスに点を決めさせるチーム設計だと思うのですが、結果的には大量のシュートが得点に結びつかない哀しい試合になりました。その原因は単純に打たされているシュートが多いからだと思うのですが、上記のようにチェルシーもバルセロナ戦と比べると「ただ中央に人数を置いてある」だけの時間帯が少なくなく、そこで工夫を凝らす試みが主にラームからしか感じられなかったのが残念でした。ちなみにシュバインシュタイガーは組み立て面で工夫をしていて、それはなかなか興味深かったのですが。

そして致命的だったのが、先発メンバーがベスト布陣という哀しい事実。交替をするたびにチームに無駄が増えていた印象ですが、試合に臨むにあたっての戦術・采配の点では、チェルシーのディ・マッテオ暫定監督に及ばなかったと思います。その辺りの反省を来シーズンにどう活かすのかが注目点でしょうか。


■おしまい

正直に言って、普段はサッカーを観ない人にお勧めできる試合かといわれると言葉を濁しかねない試合ではありました。ただ、文中にも書きましたが、とにかく猫も杓子もバルセロナを目指すという状況よりは、彼らとは違ったアプローチを試みる強豪チームがもっと出て来て欲しいと思うだけに、今回のチェルシーの優勝がそうした傾向に繋がれば良いなと思っています。

どうも最近は一通りパターンが出尽くした感があって食傷気味ですが、停滞ではなく新たな進化の芽が感じられるようなチームに出て来て欲しいものですね、という感じでまとめておきます。

以上、今日はこれにて。

テーマ : 欧州サッカー全般 - ジャンル : スポーツ

クラシコ2011

ネットで最安値のお店で買い物をしたら、数時間後に更に500円ほど値引きがあった今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?精神衛生上、購入を決めた後は値段を見に行ったらダメですね。と、それはさておき。

きちんと試合を見る時間が年々減っている昨今ですが、とりあえずこの試合はちゃんと六時起きでテレビ観戦したので、記録を残しておきます。という事で、以下はレアル・マドリード対バルセロナ、通称クラシコの感想文です。


■昨シーズンの復習

さて、先日の試合の話をする前に。昨年11月のバルセロナ5-0圧勝の試合は感想を書きましたが、昨シーズン後半のクラシコ×4について、時系列に沿って少し復習してみましょう。とはいえ、バルセロナは大枠ではあまり変化がなかったので、主にレアルについて。

リーグ戦では、ペペを中盤の底に起用して4-1-4-1で守備意識を高めたレアル・マドリード。ペペの前にはシャビ・アロンソとケディラを並べて前線は左右にディ・マリアとロナウド、トップにベンゼマという布陣で引き分けに持ち込みました。

それから数日後の国王杯決勝。布陣は同じ4-1-4-1でも中盤の底にシャビ・アロンソを据えてペペとケディラをその前に並べ、更に前線はロナウド1トップで左右のサイドにディ・マリアとエジルという布陣。中盤と前線とでそれぞれ攻守のバランスを変更したこの試合は、前半はレアル、後半はバルサの印象が強く、結果は延長に挙げたロナウドの得点でレアルが優勝。リーグ戦と比べて、ペペの役割が面白い試合でした(後述)。また、バルサが後半に行ったマイナーチェンジも面白いものでした(後述)。

更に一週間後のチャンピオンズリーグ第一戦。ケディラの位置にラスを入れた事と、エジルとロナウドの位置が入れ替わり易い以外は国王杯と同様の布陣で挑んだレアルでしたが、60分頃にペペが赤紙を頂いて敗戦。第二戦はイグアイン1トップの下にカカーを置いて、その下にシャビ・アロンソとラスを並べた4-2-3-1で小細工なしの真っ向勝負を選んだものの引き分け。結局、準決勝敗退が決まりました。

ちなみに、今シーズン冒頭のスーペル・コパでの二試合はあまり集中して見られず、目潰し攻撃ぐらいしか印象に残っていなかったりして。。。


スタメン

レアルは4-2-3-1の真っ向勝負リターンズ。シャビ・アロンソの相棒がラスだった事を除けばほぼ予想通りのスタメンでした。一方のバルサはセスクを中盤左に入れ、前線は中央にアレクシス・サンチェス、左にイニエスタで右にメッシという基本布陣。とはいえ変化が激しいので、ブスケツ&シャビが中盤低めでその前に左からイニエスタ、セスク、メッシを並べた4-2-3-1とか、あるいは中盤が左からイニエスタ、セスク、ブスケツ、シャビでその前にメッシという4-4-1-1と解釈しても、特に間違いでは無さそうな形。つまり、境界が非常に曖昧な形でした。で、それが前半の苦戦に繋がります。


■前半の攻防

クラシコ史上最速というレアルの先制点はバルデスの楽しいミスでしたが、前線から積極的にボールを奪いに行ったレアルの攻勢で始まった前半。更に、右サイドに居る事が多いメッシが守備を見事にスルーしていたので、守備に奔走されるシャビ。前者の理由により速攻が活き、そして後者の理由により遅攻でも左サイドからの攻撃が有効に機能していました。

この状況を受けて、3バックへのシステム変更を図るバルセロナ。試合開始から、攻撃時にはアウベスの位置を上げて3バックで組み立てていたのですが、15分ぐらいからは守備時にも中盤の位置に上がる場面が多くなり、何とか表現するなら3-1-4-2っぽい感じに。もしくは中盤がダイヤ型の3-4-3で両ウイングが中盤に下がった形というか。これによって、相手左サイドからの攻撃に対して数的不利に陥るケースは少なくなりました。

しかしながら、中盤の守備を突破すると相手サイドバックのスペースが使いたい放題のレアル。ベンゼマが頻繁に左サイドに流れて起点を作りロナウドを中央のよりゴールに近い位置に押し出す事で攻撃を有効にし、更に守備の綻びを未然に防ぐ頭のいい動きを披露していました。ついでに言うと、中盤のスペースを埋める動きも頑張っていたので、監督としては使いやすい選手だろうなと。

そして25分頃、ベンゼマからボールを受けたロナウドがシュートを見事に外す場面。3バックの守備での役割分担が曖昧で、ゾーンから人への切り替えが遅れたのが一点。そしてブスケツが前線に上がったスペースを埋める動きを怠った(多分セスク)事も重なって決定機を作られましたが、何とか命拾いしたバルセロナ。ここでブスケツが動きます。

30分過ぎぐらいから、開き直って守備時にはセンターバックに入る事にしたブスケツ。結果、4-4-1-1で中盤が左からイニエスタ、セスク、シャビ、アウベスという形。攻撃時にはブスケツが一列上がったり、あるいはプジョルが高い位置に上がって、変わらず3バックで組み立てます。ちなみにこれによって、恒例のプジョルによるロナウド封じがより明確になりました。

これで守備の安定を取り戻したバルセロナは攻勢に出て、メッシの中央突破から同点に持ち込みます。とはいえ問題が無いわけではなく、各選手の動きがどことなく緩慢だったり、左サイドでイニエスタとセスクがお互いの良さを消し合っていたり、ハーフタイムでの変更が求められる要素は幾つかありました。

なお、レアルの守備ですが、基本は4-3で守る形。で、それだけでは点を取られるのは時間の問題なので、前線の3人のうち最低1人は守備に加わる事。基本的にはエジルかベンゼマが守備に走る展開ですが、仮にディ・マリアが最前線まで上がった場合には彼ら2人ともが守備に加わってね、という感じ。前線からプレスをかけて、中盤にボールを運ばれたら前線の選手が後ろから襲いかかって、中盤の選手と挟み込んでボールを奪おうとする場面が多く見られました。ただ、前線からの守備は、中盤との連携が思わしくない事もあって大抵20分ほどで体力切れになるという麗しいレアルの伝統がありますので、センターラインまで引いて4-5で守る場面も徐々に多くなって来ました。


■後半について

最近のバルセロナの特徴はシステムに捉われない自由な動きで相手の守備を翻弄する事ですが、攻撃時のそうした傾向は守備時には混乱となってデメリットとなる事が多いのは当然の帰結です。で、昨シーズンのバルサはボールを奪われた時に周囲の選手が一斉に相手に襲いかかってボール奪取を図る事で、つまり相手から攻撃の為の時間をできる限り削り取る事でカバーしていたわけですが、3バックの併用により各選手の役割がぼやけ易く、攻守の切り替えが遅れ気味になっています。この辺りが先に述べた選手の動きの緩慢さに繋がる理由の一つだと思うのですが、後半は前線に見られたシステムの変化を確認する事で対処して来たグアルディオラ監督でした。

守備時にブスケツをセンターバックに入れる4バックでの各人の役割を明確にして、特にセスクを中盤の低めの位置に、イニエスタを左サイドのより高めの位置に、両者の距離を少し離す事を意識させた指示によって、前半見られた問題点の多くを解決した監督の手腕は見事というか何というか。。。更に、守備時にピッチ上で黄昏れているメッシを中央に配した事で、シャビ・アロンソやラスが攻撃参加をしにくい状況を強いた辺りも凄いなぁと。

試合の流れの中でポジションチェンジがあった場合、仮にそのまま相手の攻撃が始まると、今いる位置に即した守備の役割を求められます。それはバルセロナであれ同じ事で、例えばこの試合でも1トップのアレクシス・サンチェスはサイドに流れた時にはサイドの守備を真面目にこなしていましたし、セスクも(上記のようにサボりがちな場面はあったにせよ)中盤のスペースを埋める事を意識しながらプレイしていました。

で、後半の10分ぐらいだったか、結果的にコーナーキックに繋がったレアルの攻撃を見事にスルーしていたメッシの態度はなかなか面白かったです。レアルとしては、バルサが本格的に手を打つ前に、例えばロナウド、ディ・マリア、ベンゼマ辺りを集めて強引にサイドを制圧するとか、メッシのサイドからの攻撃をもっと意識したら良かったのになぁ…と思った場面でした。

その後は特に書く事もなく、ややラッキーな形ではあったもののバルセロナが勝ち越して更に追加点も加え、レアルの選手交代は後手後手に回り、ここ数シーズンとあまり代わり映えする事なく試合は終了しました。


■おしまい

真っ向勝負を望むファンが多かったレアルですが、結果はいつもの通りという哀しい試合でした。普通に3センターにして試合に臨んで欲しかったなぁという印象で、モウリーニョはレアルの監督史上始めて、本拠地でクラシコに4試合連続勝利なしという結果に終わったそうです。

最初に昨シーズンの復習をしましたが、この試合の後半でイニエスタが活躍した切っ掛けは、セスクとの距離を意識させた事でした。そして昨年の国王杯でも、後半からメッシとイニエスタの距離を離して、メッシにより右サイドを意識した動きをさせる事で自分たちの流れに持ち込んでいました。こうした既視感は、つまりバルセロナが過去の経験を活かしている証でもあるのですが、ではレアルはどうなのか?

11人で前線から激しい守備をする、2006-2007辺りのリバプールのようなチームはさすがに望めないとして。ロナウドの守備を免除してそれをカバーするだけの組織を作り上げる事は、それほど贅沢な要求であるとは思えません。しかし実際には、守備をサボりがちの選手が複数存在するチームでクラシコに臨んで敗れるという繰り返しです。それでも、相手の自滅があったり運に恵まれたりすれば勝利する事もあると思いますが、やれる事をもう少しちゃんとやって欲しいなと思ったのでした。もちろん、今現在の両チームの状況では、やれる事をやっても引き分けに持ち込むぐらいが精一杯かもしれませんが、それでもそれはやらない理由にはならないだろうと思うわけで。

例えば、最初に書いた昨年の国王杯でのペペの動きは、守備における自由という点で興味深いものでした。スパレッティ監督によるトッティの0トップを受け継いだメッシの0トップは、攻撃時に彼の発想を自由に発揮させる事を目指したものです。最近のファン・ペルシーや少し前のルーニー(こちらは4-4-1-1のトップ下)なども同じ発想ですが、ペペの場合は守備における自由を選手に与えるというある種の逆転の発想が感じられて、その洗練を楽しみにしていました。しかし。。。

今のバルセロナに対するには、そうした新しい発想を生み出すぐらいの意気込みがないと難しいのではないかと思います。果たしてモウリーニョにそれが可能なのかは判りませんし、従来の手法のみであっても、使えるものは全て使って勝利を目指すのであれば、それでも構わないとも思います。少なくとも、この試合のような無策ぶりよりは。個人的にどちらのチームに肩入れする気のない自分としては、強い2チームによる内容の濃い試合を見たいという気持ちが強いだけに、今のレアルの姿勢はとても残念だなと思ったのでした。

また、この試合のバルサの選手たちの動きが緩慢だったのは、「真っ向からサッカーで勝負をすれば勝てる」という高所からの意識があった事も理由の一つだと思います。その意識が仮に続くのであれば、遠からずチームは崩壊を迎える事になるわけですが、それよりも前に、今の充実のバルサに一矢報いる試合を、レアルには求めたいなと書いたところで、今日はこの辺りでお仕舞いにします。


以上、今日はこれにて。

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